炭素同位体比を指標に用いた有機二次粒子の起源と生成・成長機構の解明
Project/Area Number |
14048202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角皆 潤 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50313367)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥5,400,000 (Direct Cost: ¥5,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | ベンゼン / 炭素安定同位体比 / 起源 / 連続フロー型質量分析 / 大気化学 / エアロゾル / 有機二次粒子 / 分解 |
Research Abstract |
本研究では炭素同位体比定量が難しかった大気中のC_5以上のガス状有機分子について分子毎の炭素同位体比を測定可能にすることを第一の目的とした。具体的には、C_8までの直鎖、イソおよび環状アルカン類、C_5までのアルケン類、ベンゼンやトルエン、キシレン類などの芳香族、そしてピネンやイソプレン類について、これらを100pmolC以上含む一般大気約10Lについて一回の試料導入で同時炭素同位体比測定を実現することを目指した。そしてこの手法を各種大気試料や発生源試料中のガス状炭化水素の分子毎の炭素安定同位体比測定に応用することで炭素炭定同位体比の指標としての有用性について検討することを第二の目的とした。 本研究の結果C_8までの直鎖、イソおよび環状アルカン類、ベンゼンやトルエン、キシレン類などの芳香族に関しては当初の目標をほぼ満たす測定システムを確立することが出来た。そしていくつかの大気試料や主要発生源試料について炭素同位体比の実測にも成功した。 室内燃焼実験で放出される排ガスの同位体組成は、燃焼物や燃焼条件によって多少変化するものの、C3植物燃焼の平均値を大気の実測値と分子毎に比較したところ都市大気における各分子の値はバイオマス燃焼とほぼ同じ値を示しており、基本的にはC3植物(あるいはこれらから派生して生成した化石燃料)の燃焼がこれら分子の起源であることを裏付けていることがわかった。しかし洋上大気試料における各値を燃焼起源との間で比較すると特にベンゼンやトルエン等で大きな炭素同位体の相違が観測されている。これはこれら比較的短寿命の分子が洋上大気中で分解する際の同位体分別の影響と考えられ、この値を元に炭化水素の分解の有無や分解率の算出可能であることがわかった。一方エチレンやアセチレンといった不飽和炭化水素は、燃焼ガスにおいても大気試料においても他の炭化水素と炭素同位体比の特徴が大きく異なる。これは不飽和炭化水業に由来する二次生成粒子は一般の飽和炭化水素や芳香族炭化水素に由来する有機二次粒子とは異なる炭素同位体比の特徴を示すことを示唆するもので、今後有機二次粒子の炭素同位体比データを解釈する際に重要な知見となると結論した。 以上の成果は国内の学会で公表した他、5件の論文を一年間に公表した。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)