2次元フォトニック結晶スラブの点欠陥による光子操作とデバイス応用
Project/Area Number |
14205012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Applied optics/Quantum optical engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 進 京大, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10208358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤羽 良啓 住友電気工業株式会社, 伊丹研究所, 研究員
浅野 卓 京都大学, 工学研究科, 助手 (30332729)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥39,780,000 (Direct Cost: ¥30,600,000、Indirect Cost: ¥9,180,000)
Fiscal Year 2003: ¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2002: ¥22,750,000 (Direct Cost: ¥17,500,000、Indirect Cost: ¥5,250,000)
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Keywords | フォトニック結晶 / 2次元 / スラブ / 点欠陥 / 線欠陥 / 光子操作 / 波長分波 / Q値 |
Research Abstract |
本研究は2次元フォトニック結晶スラブ中に欠陥を導入する二とにより、光機能デバイスを実現することを目的としている。本年度は下記に示す研究を行い、当初の目的を達成した。 試料の作製:基本構造として、格子定数をaとして、スラブ厚さが0.6a、基本格子(空気ロッド)の半径が0.29aの三角格子2次元フォトニック結晶スラブに、最近接の方向に格子点を埋めた幅が1.73aの線欠陥導波路と、半径0.54aと周りよりも大きな空気ロッドからなる点欠陥を1つ含み、その点欠陥と導波路の距離が2.7aのデバイスを設計した。試料作製においては、動作波長が1.55μm帯となるよう格子定数aを0.42μmとし、また作製精度の向上を狙ってスラブ材料を従来のInGaAsPからSiに変更した。さらに電子ビーム露光によるパターン描画条件およびICPエッチング装置によるパターン転写条件を最適化することにより、非常に精度良いフォトニック結晶構造が作製できるようになった。設計構造からの揺らぎは1〜2%以内であり、従来の10%近い揺らぎを持つ構造と比較して大きく精度を向上することができた。 基礎評価:評価系として、線欠陥導波路の端面から可変波長レーザー光を入射し、点欠陥に捕らえられてスラブ表面から自由空間へ放射される光の強度、とそのまま導波路を透過して逆側の端面から放射される光の強度の両方を観測できる測定系を構築した。レーザ波長を変化させつつ、点欠陥から放射される光強度を観測しところ、波長1.55μm付近にQ値500程度のスペクトルが観測された。これは時間領域差分法(FDTD法)を用いた理論解析と良く一致した。また得られた分波スペクトルは、従来の構造と比較して非常にバックグラウンドの小さいスペクトルであった。これは、非常に精度良く試料を作製できるようになったため、揺らぎによる光散乱が抑制されたことを示している。 欠陥からの光の取り出し効率の評価と最大化:同様に導波路の透過スペクトルを測定したところ、点欠陥共鳴波長において透過率が25%程度まで低下する現象が観測された。これは、導波光のかなりの部分が点欠陥で捕らえられて、自由空間に放出されたことに起因しており、モード結合理論を用いた詳しい検討の結果、このデータから点結果による光子捕獲・放出効率を評価できることが分かった。この方法により、初めて効率を定量的に見積もることが可能になり、また得られた結果は約45%以上とほぼ理論から予想される最大値に近いことが分かった。 Q値の向上:空気ロッドを大きくすることで導入した点欠陥では、理論と実験の両面からそのQ値は500程度であることが分かった。しかし、この方式を光波長多重通信へと応用することを考えると、その分解能を決めるQ値は十分ではない。そこで、よりQ値を高くできる欠陥構造を探索した。一般に誘電率が高い部分に光は良く閉じ込められることから、格子点を誘電体で埋めた形状のドナー型欠陥を候補とし、また共鳴波長が導波路の透過帯域と重なること、フリースペクトルレンジが十分大きいことなどを条件としてFDTD法や平面波展開法を用いて詳しく検討を行った。その結果、格子点を3個直線状に埋めた欠陥形状において、理論的にはQ値2600程度(孤立欠陥で5200)が期待されることが分かった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)