潰瘍性大腸炎における粘膜上皮再生障害機序に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
14570513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Tokyo Medical University (2003-2004) Tokyo Women's Medical University (2002) |
Principal Investigator |
中村 哲夫 東京医大, 医学部, 助教授 (00221458)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | Reg 1α / 炎症性腸疾患 / EXTL3 / 潰瘍性大腸炎 / Reg 1-α / DSS腸炎 |
Research Abstract |
我々は、Reg 1-αが障害腸粘膜の再生治癒に重要な分子である事を示した。今回、大腸上皮培養細胞(HT-29)を用いて、アポトーシス誘導刺激に対するReg 1-αの作用、およびReg 1-αのレセプターとして同定されたEXTL-3の炎症部大腸粘膜上皮における発現を検討した。方法として、1nM,10nMの組み換え型Reg1α蛋白存在下、非存在下に3mM過酸化水素水添加条件でHT-29を培養し、アポトーシスを起こした細胞の割合、およびCaspase-3活性を測定した。UC炎症部、非炎症部および正常の大腸生検材料より上皮を剥離しRNAを抽出し、real-time PCR法にてEXTL-3mRNA量を定量した。結果、過酸化水素水添加によるHT-29のアポトーシス誘導は、1nM,10nMのrh Reg1α存在下で非存在下と比較し約50%抑制され、Caspas-3活性も約50%抑制された。EXTL3/GAPDH比の平均値はUC炎症部の上皮で0.19,UC非炎症部の上皮で0.21,正常上皮で0.53であり、UC炎症部の上皮では、12例中4例でEXTL-3mRNAは検出感度以下であった。以上、Reg1αは、大腸上皮細胞に対する抗アポトーシス作用により、炎症部大腸粘膜の損傷治癒に重要な役割を果たし、UC炎症部の上皮再生障害にReg1α-EXTL糸の異常が関与している可能性が示唆された。また、最近、Reg1-αが癌抑制遺伝子であるとする報告が散見される。そこで、慢性炎症を素地とした発癌過程(colitic cancer)においてReg 1-αが癌抑制遺伝子として機能しているか否かをReg 1-αノックアウトマウスを用いて検討した。BALB/Cマウス(Ct)とReg 1-αノックアウトマウス(KO)で3% Dextran sodium sulphate(DSS)飲水1W後、1W休薬のサイクルを3クールにて慢性腸炎モデルを作製し、前癌病変とされるaberrant crypt foci(ACF)の数を比較検討した。全結腸当たりのACF数は、Ct:2.6±1.2(mean±S.D.)に対してKO:5.2±2.3(mean±S.D.)であった。さらに、DSS飲水1W後、2W休薬のサイクルを9クールにて大腸発癌モデルを作製し、検討した。Low Grade Dysplasin, High Grade Dysplasia, Carcinomaは、Ct群でそれぞれ、36%,16%,8%みられたのに対して、KO群では14%,26%,32%みられ、Reg 1-αが慢性炎症を素地とした発癌過程において、癌抑制遺伝子として働いている事が示された。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)