イギリスにおける教育民営化政策に伴う学校運営の定型化・規格化のパラドックス
Project/Area Number |
14651050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮腰 英一 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50166138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水島 和則 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 助教授 (00219627)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 教育サービス / 民営化 / 多様化政策 / 専門中等学校 / WTO / 市場化 / 品質保証 / OECD / 教育経営組織 / 教育コンサルタント会社 / Public Private Partnership / アウトソーシング / 民間委託 / 新保守主義 / 教育行財政改革 / マネジメント |
Research Abstract |
本年度の研究は、第1にイギリス中等教育の多様化政策におけるスペシャリスト・スクール(専門中等学校)の理念、現状、特徴並びに課題の解明、第2に高等教育政策におけるWTOの教育サービスの自由化問題とOECDの将来の高等教育政策の内容の検討を中心に進め、次の成果を得た。 第1にイギリスの中等教育多様化政策は、そのシンボル的な意味をもつ専門中等学校の増設を機軸に展開されている。その理念は優秀性の追究としての「個性化」であり、ネットワークなど相互協力による優秀性の共有化にある。2006年までに2000校を目指しているが、2003年現在992校である。設置には民間資金2〜5万ポンドが必要であり、校長の集金能力が大きく左右する。ほかにもシティ・カレッジ、最先端学校プログラムなどの多様化推進策があるが、基本的に民間資金の導入を条件としている。その結果、全般に学力の向上が認められているが、学校間或は地域との連携による成果の普及・拡大が十分に図られていない点が課題として残る。 第2にWTOのサービス事業の自由貿易化で、大学教育はサービスの対象となり、アメリカ、オーストラリア、イギリスなどが積極的に各国にコンテンツの売り込みをはじめている。しかし高等教育の「水準」や「品質保証」などの点から、日本、北欧諸国、フランスなどは慎重な姿勢をとっている。こうした問題の国家間調整は国際機関の重要な課題ある。他方OECDは高等教育(大学)政策の市場化志向が進むにつれ、その構成員の組織体へのアイデンティティが減少し、他の高度専門職との可動性が高まると推測している。 公教育の市場化・民営化政策は、多様化・個性化を生みだしているが、同時に現代的国民教育制度の制度設計を極めて困難にしていることが判明した。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)