20世紀国際関係における「少数民族問題」-「少数民族保護」政策と国際連盟を中心に
Project/Area Number |
14651072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 博子 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (20335392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 明代 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70363950)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 少数民族保護条約 / 国際連盟 / マイノリティ / 中東欧現代史 / 「少数民族保護」条約 / 住民交換 |
Research Abstract |
本研究は1920年代の国際連盟による「少数民族保護」政策について、特にヴェルサイユ体制を基軸とした国際関係史の観点から考察することをめざした。そこで今年度は、これまで収集した本テーマに関わる研究文献の総合的整理を行うことにより、マイノリティの「保護」という思想に内包される問題性を、水野は国際連盟の政策の観点から、また山本はロマ研究ならびに東ヨーロッパからの合衆国への移民の歴史を検討し、以下の結論を得た。 1.「保護」という思考は、家父長的なスタンスを前提とする概念であり、第二次世界大戦後に成立した国民国家を基軸とする国際関係の支配体系の根幹をなしている。 2.本研究で問題提起した「マイノリティ」の「保護」は、歴史的に見て、特に「ドイツ系住民」と「ユダヤ系住民」を中心に議論されたが、その重要な理由のひとつは「離散の民」たる歴史的発展が、一定の領土をあるアイデンティティ集団が支配することを前提に成立する国民国家体制と相いれないからである。 3.「マイノリティ」を問題にするとき、その解決方法として、少数者の文化を支配文化から「解放する」、「あらゆる文化を認め合う」といった多分化主義的、あるいは相対主義的な思想が主張されるが、それは、少数者の文化を所与の前提として設定している。しかし、そうした少数者の文化を作り出してきたものこそが、近代国民国家の支配体系であり、「マイノリティ保護システム」は、こうした現代的な問題設定の限界を批判的に再検討する視座を提供する。 本研究プロジェクトを締めくくるにあたり、2005年2月に国内の中東欧研究者を関西に招聘し、中東欧地域における「マイノリティ」問題の歴史的背景と現状について、ワークショップを組織し、第三者評価を受けた。また、より総合的に第三者評価をうけるため、これまでの研究成果をまとめた研究報告書「記憶のタペストリー-マイノリティ、ナチズム、戦争をめぐる現代文化の諸相」を自主的に作成・発行し、各関係者に配布した。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)