Project/Area Number |
14654069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学一般
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes (2003) Tohoku University (2002) |
Principal Investigator |
高橋 正彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80241579)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 電子線衝撃イオン化 / 配向分子 / コイシデンス / (e,2e) / コンプトン散乱 / 波動関数 / 振動子強度 / EELS / 立体ダイナミクス / 同時計速報 / 電子衝撃イオン化 |
Research Abstract |
電子運動量分光は、標的分子の高速電子衝撃イオン化により生成する非弾性散乱電子と電離電子双方のエネルギーと運動量を同時計測し、電離電子がイオン化前に分子内で持っていた運動量の分布(運動量空間波動関数の二乗)を電子軌道毎に得ようとする手法である。本分光はコンプトン散乱実験の発展形であり、米、加、豪などの数グループによりこれまで活発に研究がなされ、ベンゼン程度の大きさまでの分子について相当数の報告がある。しかし、そのいずれもが対象とする気相分子の空間的ランダム配向により得られた結果は空間平均した波動関数形に止まっており、定量的議論には至らない。 本研究では、上述した空間平均の実験的困難を克服するため、研究代表者がこれまで行ってきた電子運動量分光、レーザー光電子分光及び光イオン化同時計測実験の成果をベースに、軌道毎の電子運動量分布を分子座標系で観測する手法の開発を試みた。すなわち、配向分子の電子運動量分光実験を行うためaxialrecoil解離イオンをも含めた(非弾性散乱電子・電離電子・解離イオン)三重同時計測実験を開始した。その結果、極端に弱い信号強度のため予備的ではあるが、気相分子の電子運動量分布の異方性や立体衝突ダイナミクスを世界に先駆けて観測することに成功した[M.Takahashi et al.,J.Electr.Spectrosc.,invited paper]。 本研究の展開は、分子軌道を3次元的に見るという、おそらく化学者全体の夢の一つを実現することに繋がっていく。これは、理論計算を通じてのみしか波動関数形を窺い知ることのできない現状と比較すると、分子科学研究のブレークスルーの一つになるであろう。波動関数形に関する実験と理論の比較は、電子軌道理論の発展を促すに止まらず、化学結合や化学反応に対する理解にまで質的変化をもたらす可能性を持つ。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)