混合原子価状態の電子的カップリング定数の新しい評価法の開発
Project/Area Number |
14654118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 翼 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90007328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BREEDLOVE Brian K 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50333779)
山口 正 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40230362)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 混合原子価状態 / 混合原子価錯体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,クラスIIに属する混合原子価状態について,二つの混合原子価中心間の電子的カップリング定数(H_<AB>)を熱力学的な実験データから評価する新しい手法を開拓することである.測定試料として[{(OAc)_6(CO)(L)Ru_3}-pyz-{Ru_3(L')(CO)(OAc)_6}]型の3種類の錯体,(L, L')=(dmap, py),(py, cpy),(dmap, cpy),を合成し,電気化学などのデータからこれらが本研究目的に合う非対称型の混合原子価状態を与えることを明らかにした.CO伸縮振動スペクトルの吸収線形解析から,非対称型混合原子価状態に期待される電荷移動異性体が存在すること,その存在比major/minorが2.0-4.5であることを明らかにした.これから両者のポテンシャルエネルギー差ΔGが140-311cm^<-1>と求められた.本研究では,混合原子価状態のポテンシャルエネルギー曲線の理論式を用いて,上記のΔGを与えるようなH_<AB>を決定できると期待していた.しかし実際にフィッテイングを行ってみると,H_<AB>が比較的小さいときにはmajor, minor化学種の存在に対応するポテンシャルエネルギーの極小値が見られるものの,H_<AB>が大きくなり混合原子価状態がクラスIIからクラスIIIに近づくとminor化学種の存在の根拠となる極小値を与えないことが解った.このため,Sutinらが提唱している理論式を用いるかぎり,上記の実験値ΔGを再現するようなH_<AB>を求めることは困難であり,本研究が目指したH_<AB>の新決定法の確立には残念ながら至っていない.理論式の補正が必要と思われる.なお,原子価間電子遷移のスペクトル解析から従来法によりH_<AB>=1100-1800cm^<-1>が得られている.
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)