Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
成長因子アレイを作製する際、細胞がアレイの大きさや形状により増殖や分化に影響を受ける可能性が考えられる。そこで、カラーインクジェットプリンターを用い細胞接着成分であるゲラチンを線状にプリントし、その上で骨格筋細胞C2C12を培養し、細胞増殖率、形成された筋管細胞とゲラチン線とのなす角度、分化制御因子マイオジェニンの発現率、分化指標である横紋筋型ミオシン重鎖の発現率、休眠期にある筋衛星細胞の出現率等について検討した。分化制御因子マイオジェニンの発現率および分化指標である横紋筋型ミオシン重鎖の発現率は、抗マイオジェニン抗体(F5D)あるいは抗横紋筋型ミオシン重鎖抗体(MF20)を用い、Hoechst33258による全細胞数あたりの陽性細胞数を傾向顕微鏡により求めた。休眠期にある筋衛星細胞の出現率は、Nagataら(2005)の方法にしたがい、ライセニン&抗ライセニン抗体を用い、蛍光抗体により求めた。その結果、ゲラチン線の幅が50ミクロン、線同士の間隔が80ミクロン以上の場合において、プリントしたゲラチン線の方向に筋管細胞の形成が認められた。しかし、細胞の増殖率には有意な差は認められなかった。分化指標である横紋筋型ミオシン重鎖と分化制御因子マイオジェニンの発現率は線上の細胞の方がゲラチン全面塗りした対照実験のものより有意に低下していた。それと対照的に、休眠期にある筋衛星細胞の出現率は増加していた。これは、細胞の分化制御が成長因子や細胞数などだけでなく、細胞が生育する領域の形状によっても影響を受けることを示唆している。今後、この観点を重視しながら、さらに成長因子アレイの官製を目指して行きたい。本斫究は2004年12月にサンフランシスコにて開催された第44回米国細胞生物学会にて注目発表"HotPick"に選ばれた。さらに本研究は、インクジェットプリンターによる細胞生物学の新しい展開として、Science 305:1895(2004)において紹介され、2005年3月に米国サウスカロライナ大学医学部で開催された「第2回バイオプリンティング・バイオパターニング ワークショップ」においても高い評価を得た。
All 2004 Other
All Journal Article (6 results) Publications (7 results)
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