ジョセフソンプラズマ共鳴現象を用いたテラヘルツレーザー開発のための基礎研究
Project/Area Number |
14655121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 博成 大阪大学, 超伝導フォトニクス研究センター, 助教授 (30219901)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / テラヘルツ電磁波 / フェムト秒レーザー / 超高速光応答 / ジョセフソンプラズマ / キャリアダイナミクス / コヒーレンス波 / ボルテックス |
Research Abstract |
今年度は高強度なTHz電磁波放射源開発のため以下の研究を行った。 (1)フォトミキシング技術の確立 高温超伝導体のJPRを利用したコヒーレントなTHzレーザー光源の開発のため、フォトミキシング技術を確立した。現在は半導体の光スイッチを用いた基礎研究段階であるが、100GHz程度の電磁波放射およびジョセフソンアレイ素子を用いた検出に成功している。今後、この技術を高温超伝導体光スイッチへ応用していく。 (2)高強度THz電磁波放射源開発のための基礎研究 高温超伝導材料およびホールキャリア濃度の違いによる電磁波放射特性の違いについて検討するため、THz電磁波パルスの透過特性、遮蔽特性、放射特性について様々な試料について検討した。その結果、高温超伝導体では、キャリア濃度や材料の違いに依存して、高周波で応答できるキャリアの数が異なっており、一般に、アンダードープ領域になるつれ、またYBCO→TBCCO→BSCCOとなるにつれ高周波応答できるキャリアの数が極端に減少してくることが判明した。これは、試料の次元性に強く依存したもので、二次元性の非常に強いBSCCOでは、CuO_2面間の超伝導的結合が弱く、このためJPR周波数も100GHz程度と低くなること、また、この面間で高周波の超伝導キャリアが誘起できない結果をもたらしている。また、その結果として、非常に大きなTHz電磁波の透過率をもたらし、さちにフェムト秒レーザー照射によって発生するTHz電磁波の帯域も極端に狭くなることが判明した。また、このことがJPR周波数とカットオフ周波数の関係を与えていることも判明した。 (3)磁気光学顕微鏡を用いた磁束量子状態の直接観察 JPRによるTHz電磁波放射は、外部磁場を印加した状態でフェムト秒レーザーを照射することにより生じる。現在は永久磁石を用いて外部磁場を印加しているが、磁場印加用超伝導コイルを電磁波放射デバイスと同じ基板上に配置した一体型の素子を構築することにより、発信周波数の電気信号制御が可能なコンパクトな放射素子を構築することができる。この構築を目指して、実際のTHz電磁波放射デバイス中の磁束量子分布を直接観察可能な高感度、高分解能な磁気光学顕微鏡の構築を行った。現在までに、高温超伝導体中の磁束量子分布状態や、微細加工した高温超伝導ストリップラインに電流を流したときに発生する磁界の観測などに成功している。 以上、今後継続し追求すべき課題もあるが、高効率なコヒーレントテラヘルツ放射源の開発に向けた基礎研究は、この2年間にわたる研究を通して大幅に進展しており、今後のさらなる発展が期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)