Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
当研究の目的は新規ホスト分子チアカリックスアレーン(TCA)の易水溶性分子に対する包接能を活用し,その高効率分離回収法の可能性を検討するところにある.前年度までに1.ゲスト分子の適用限界の調査,2.包接機構の解明を行った.本年度は3.TCAの分子修飾による包接能の高度化を検討した. 3.TCAの分子修飾による包接能の高度化 TCAは溶液中でコンホメーション変換運動をしており,これは易水溶性分子の包接能を弱めていると予想できる.そこで分子修飾を施し,コンホメーションの動的な揺らぎを制限することを企図した.まず,分子修飾としてTCAのフェノール性OHの一つをアルキル化し,OCH_2COOHとした.アルコールやケトン,ニトリルなど水溶性ゲストに対する包接能を調べた.TCAの場合より大きなゲスト分子に対して高い包接能を示したが,TCAモノカルボン酸はより小さなゲストに対し,高い包接能を示した.特にメタノールに対し10^2M^<-1>を越える大きな包接能を示した。これはモノアルキル化の結果,空孔の形状が制御され,あるいは空孔サイズが制限され,小分子の包接に適合したと考えた.一方大きなゲスト分子は生成したホストゲスト錯体において疎水的アルキル部位を空孔の外に露出するため,不安定となると考えた. 一方,TCAの最大の特徴である,金属イオンとの錯形成能を利用し,TCAのフェノール部位を固定した.Cu(II),Cd(II)イオンのTCA錯体について易水溶性分子の包接能を評価した.その結果TCAに比べ,錯体は一桁程度の包接能の向上を示すことがわかった.これは統計的な効果を上回る包接能の向上であり,コンホメーション固定の効果と考えられる. 以上から易水溶性分子のホスト設計の指針が得られ,これを塩析などの相転移と組み合わせれば,易水溶性分子の分離回収技術の開発につながると考えられる.
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