暑熱環境不適応による初期胚死滅の分子機構解明と熱帯畜産への応用
Project/Area Number |
14656098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Zootechnical science/Grassland science
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金井 幸雄 筑波大学, 農林学系, 教授 (40015871)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 熱帯畜産 / 暑熱環ストレス / 母体暑熱感作 / 過体温 / 初期胚死滅 / 酸化ストレス / 細胞周期 / 暑熱環境不適応 / 暑熱ストレス |
Research Abstract |
熱帯という地域の自然的・社会的諸条件(在地性)を出発点とする新しい畜産学の体系化、すなわち熱帯畜産学の創成を求め、本研究では家畜繁殖学領域からの一つの試みとして、熱帯畜産の潜在的制約要因である高能力家畜の暑熱環境不適応による母体の体温上昇に起因する初期胚死滅現象を取り上げ、その分子機構を明らかにしようとした。前年度に確立したマウス実験モデルを用い、本年度は、過体温に附随する酸化ストレスの亢進によって初期胚死滅が誘発される可能性についての検証と2細胞期での発生停止の分子機構解明を目指した。 1.初期胚死滅に関わる胚と卵管組織との相互作用に関する解析 まず、交配直後12時間の母体暑熱感作(気温35℃、相対湿度60%)によって2細胞期以降での胚死滅が誘発されることを確認し、同一条件下で胚及び卵管組織の酸化還元状態を比較した。その結果、暑熱感作を受けた初期胚(1-2細胞期)では胚中のグルタチオン量が減少し、卵管組織では過酸化水素量の増加が観察された。一方、卵胞内卵子に暑熱感作を加えた場合には、胚中グルタチオン量の減少は起こらなかった。これらの結果から、母体暑熱感作による初期胚死滅は卵管との相互作用を介する酸化ストレスの増大によって誘発されるという仮説の客観性が裏付けられた。 2.母体暑熱感作を受けて2細胞期で発生を停止する初期胚の細胞周期制御因子の解析 母体暑熱感作によって死滅する胚の大半が2細胞期で発生を停止することから、細胞周期調節因子の動態を解析することにより、分子機構の解明を試みた。G2期前後におけるCdc2の活性型/不活性型分子の動態を調べたところ、暑熱感作を受けた胚ではCdc2の活性化が阻害され卵割停止に至ることが明らかになった。 これらの結果は、熱耐性欠如という初期胚の細胞学的特徴が主要因であるとする定説を覆すものであると同時に、新たな防御技術が開発できる可能性を示すものである。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)