Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
平成16年度は、ヒトのニトロ還元酵素(hNTR)について解析した。先ず、N末端側にGSTタグ、C末端側にHisタグを持つhNTR融合蛋白質をグルタチオン精製し、GSTタグを除去した後、Niキレート精製して、hNTR-His標品(34kDa)を得た。GST-hNTR-Hisと、種々のニトロ化合物に対する反応性について比較したところ、hNTR-Hisの方がGST融合蛋白質より概ね1オーダー活性が高かった。また、その他として、細胞内基質であるキノンやフラビンに対しても、高い反応性を示したが、アゾ化合物や六価クロムに対しては殆ど活性を示さなかった。ニトロとフラビンの還元反応機構を解析したところ、ピンポン・バイバイ様式に従った。面白いことに、フラビン還元反応をルシフェラーゼと共役する形で解析すると、シークエンシャル・バイバイ様式に変換した。このことから、hNTRが一酸素添加酵素と複合体を形成してフラビン還元を遂行していることが伺える。次に、hNTRと複合体形成する一酸素添加酵素を同定する目的で、HeLa細胞抽出液からhNTRによるプルダウン精製を行ったところ、80kDa弱のメジャーな蛋白を検出できた。この蛋白質については、現在マスによる同定を進めている。更に、shRNAを過剰発現してhNTRを枯渇するようなHeLa細胞の安定株を樹立した。この株に対して、遺伝子毒性試験(ID50)を調べたところ、ニトロ化合物に対する抵抗性が1〜2オーダー明らかに増加していた。このことは、hNTRがニトロ発がん誘起の鍵酵素であることを示唆している。
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Molecular Biology 38・2
Pages: 228-238