Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ラットを被験体とした前年度までの研究により、自発的回転カゴ走行を無条件刺激とした味覚嫌悪学習の基本的性質を明らかにした。さらに、自発的回転カゴ走行だけでなく、強制遊泳を用いた場合にも味覚嫌悪学習が成立することを発見した。平成16年度は、(1)自発的回転カゴ走行と強制遊泳について、味覚嫌悪学習の無条件刺激としての強さを比較すること、(2)これら運動性味覚嫌悪学習の手続きの臨床応用性を探ること、(3)「自発的回転カゴ走行」が真に「自発的」であるかどうかを確認すること、の3点を実験的に検討した。まず、味覚嫌悪学習研究において一般的に使用されるサッカリン溶液をラットに摂取させた後、自発的回転カゴ走行または強制遊泳を行わせたところ、運動時間が等しければほぼ等しいサッカリン嫌悪が形成された。また、アルコール溶液を摂取させた後、15分間の自発的回転カゴ走行または強制遊泳を行わせた場合に、同程度のアルコール嫌悪の形成を確認した。これは、15分間の断続電撃を無条件刺激に用いて形成されるアルコール嫌悪の強さと等しかった。この知見は、人間のアルコール依存症患者の味覚嫌悪療法において、催吐剤の代わりに「運動」を使用できるかもしれないことを示唆している。しかし、電撃や運動によって生じる味覚嫌悪は催吐剤を使用した味覚嫌悪よりも弱いことや、ラットと人間との種差の問題などがあり、実際の臨床応用には今後さらに検討が必要である。また、側室のあるモーター駆動の回転カゴを用いて、味覚嫌悪学習を最大にする走行の性質を明らかにしようと試みた。その結果、「自発的に高速で走っては止まる、しかしカゴからは出られない」という状況において最も味覚嫌悪学習が大きいことを示唆する結果を得た。
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Physiology & Behavior Vol.84
Pages: 9-15
Behavioural Processes Vol.67
Pages: 357-362
Learning and Motivation Vol.35
Pages: 406-418
Integrative Physiological & Behavioral Science Vol.39
Pages: 95-104