Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成16年度は、日本におけるバイオテクノロジーの社会的受容の様態をさらに詳しく検討するために、バイオテクノロジーに関する意識調査、および、遺伝子組み換え動物のイメージに関する質問紙実験を行なった。前年度までに実施したメディア分析についても、ヨーロッパ諸国との比較検討をさらにすすめた。調査会社のパネルを利用して実施した意識調査では、次のことが明らかになった。(1)バイオテクノロジーは全体としては肯定的に受け止められている。(2)しかし、個別の応用ごとに見ていくと、必ずしも推進が望まれているとはいえない。特に、動物改変に関わる応用(異種間臓器移植、薬や良質の肉を生産するためのクローン技術など)は、かなり否定的に捉えられている。この点は、ヨーロッパ諸国の結果と比べて、日本独特の結果である。(3)バイオテクノロジーのさまざまな応用を支持するか否かは、その応用が道徳的に許容できると認知されているかにかなりの程度依存する。また、遺伝子組み換え動物に関する質問紙実験では、以下のことが明らかになった。(1)遺伝子組み換え動物は、自然種とは明らかに異なる属性(モンスター性)をもつものとして認識されていた。(2)そのモンスター性は、自然種の性質の足し算では説明できない、いわゆる創発特性として現れていた。この結果は、バイオテクノロジー(特に、遺伝子組み換え)に対する否定的なイメージが、自然カテゴリーの越境そのものに由来していることを示すものと考察された。また、この結果は、オーストリアと比較すると、両国の文化差にもかかわらず、きわめて類似していることが見出された。
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人文論叢(三重大学) 22(印刷中)
科学技術社会論研究 3
Pages: 87-102
The Asian Journal of Social Psychology (in press)