社会的ジレンマにおけるサンクショニング・システムの提供と感情の役割に関する研究
Project/Area Number |
14710106
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育・社会系心理学
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
林 直保子 関西大学, 社会学部, 助教授 (00302654)
|
Project Period (FY) |
2002 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Keywords | 社会的ジレンマ / 感情 / 信頼 / 集団アイデンティティ / サンクション / 公正感 / 実験研究 / 一般的信頼 / 社会調査 |
Research Abstract |
平成16年度には、社会的ジレンマにおける行動と怒りの感情の役割に関する第1実験と、集団アイデンティティとサンクション提供の関係に関する第2実験を行った。第1実験では、集団メンバーの実際の作業量の総和に応じて金銭的報酬が与えられる社会的ジレンマ状況を用いて、非協力者に対する「直接攻撃」「攻撃転化」「攻撃抑制」の反応と怒りの感情の関係を検討した。この実験の結果、非協力者に対する怒りや、報酬分配の不公平性を感じていた被験者の方がより直接攻撃を行いやすいが、実験後の怒りの度合いの減少は、直接攻撃を行わず自制した被験者でより顕著であった。この結果は、サンクションを加える行動をとったほうが、結果的に怒りをより強く意識し、怒りが持続することを示唆している。 集団アイデンティティとサンクション行動の関係を検討した第2実験では、集団アイデンティティが高まる作業をジレンマゲームに先立って行う条件と、行わない条件が比較された。この実験の結果、集団アイデンティティの高い群において、より高い協力率とサンクション率が見られた。集団アイデンティティが高まる状況では、集団内で協力すべきであるという規範が生じるため、同じ集団で行う社会的ジレンマゲームにおける協力率が高いことが既存研究においても示されているが、非協力者へのサンクション行動もより多くとられること、サンクション行動後の協力率が低下しないこと、すなわちサンクションが実際に効果をもつことは本研究において新たに示された結果といえる。 一連の研究結果は、非協力者に対してサンクションを与えることが、必ずしも社会的ジレンマにおける共栄状態の達成に貢献するわけではなく、サンクションを与える側のサンクション行動に関する認識と、そのサンクション行動の意図が集団成員にどのように理解されるかが重要であることを示唆している。
|
Report
(3 results)
Research Products
(1 results)