Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、保育者の再教育・研修について、日本とアメリカの比較検討を行った。再教育・研修の主体について、アメリカでは、例えば、行政機関や、広く認知され信頼も深いという意味で公共性の高い非営利の専門組織が実施していた。日本でも、公的研修機関において、再教育・研修が提供されているが、我が国では、加えて、行政当局が、個々の保育機関による園内研修を奨励する傾向も強い。両国において特に顕著な違いがみられたのは、再教育・研修のシステムである。アメリカでは、研修がシステム化されている。具体的には、多種多様な資格取得に繋がること、給与体系等待遇に反映されること、認定システムが整備されていることが挙げられる。一方で我が国では、プログラムは未整備であり、給与や職階との関連も低かった。また、保育者個人の動機に基づく主体的学習を推進しようとする傾向が強い。日米の現職保育者と管理職を対象に、研修と再教育に関するインタビュー調査を実施した。その結果、両国において保育職の社会的認識を広め、また質と社会的評価の向上を強く求めていることが分かったが、一方でアメリカでは、それが、資格や研修・再教育に関連づけて意識されているが、我が国では、そのような意識が残念ながら低いことが分かった。よりよい保育を提供するべきで、そのための生涯学習の必要性は、両国とも高く、特に我が国では、少子化や児童をめぐる社会問題への学習意欲が高かった。研修の具体的プログラムについては、日本では、聴講等による啓蒙が多いことが明らかになった。また、子どもを含め実際の実践を行う研修や、映像を記録しそれを元に研修を実施することが、両国で試みられているが、その規模が我が国では、園内など比較的小グループでなされる傾向が強いことも明らかになった。資格や認定、評価と繋がるよりシステム化した再教育・研修の構築が我が国の課題であることが明らかになった。
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PECERA 5th Annual International Conference and Meeting 2004
Pages: 69-70
日本社会福祉学会第52回全国大会報告要旨集
Pages: 233-233