Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
昨年度までは、コンピュータ画面上で提示される文学テクストはどうあるべきかを探りながら、世界各地の文献学的編集の現状を見直し、そこから具体的な問題点を洗い出していく作業をおこなっていた。そうして明らかになってきたのが、次の3点からの考察の必要性である。すなわち、1)メディア、2)アーカイビング、3)出版ビジネスである。コンピュータが紙の本に代わる新しいメディアだという点は、当初から視野に入っていたが、コンピュータがまた、きわめてすぐれたアーカイビング機能と出版流通の機能を有することの重要性の認識は、今回の研究を通して行き着いたものだった。今年度は、これら3点をめぐる検討を進めながら、できるかぎり具体的な成果にまとめていくことに努めた。その結果、1)については、日本出版学会で、携帯電話という新しい読書ツールを例として電子メディアならではの新しい「文学テクスト」の可能性を示唆する論文を発表した。また、2)については、情報処理学会の人文科学とコンピュータ研究会で、コンピュータを活用した文献学の今後のあり方に関する提言をおこなった。そして、3)については、情報システム論・経営情報学を専門とする内木哲也氏とともに、情報処理学会情報システム研究会と経営情報学会で、ビジネスとして成立しうる新しい文学テクストの出版流通をめぐる共同研究の成果を発表した。さらに、こうした3点からの検討は、従来より続けてきた新しい時代の文献学の理論構築における、とくに「本文」概念に関する思考に大きな飛躍をもたらした。そこで、それを宮沢賢治の全集をめぐる論文にまとめ、日本出版学会誌に投稿した(査読を通過し、現在印刷中)。また、中国・武漢でおこなわれた第11回国際出版研究フォーラムでも、この「本文」概念をめぐる本質的議論についての発表をおこなった(論文集は、現在印刷中)。
All 2005 2004 Other
All Journal Article (6 results) Publications (1 results)
出版研究 35
Pages: 1-18
130007824595
The 11^<th> International Forum on Publishing Studies (Proceedings)(未定)
日本出版学会・春季研究発表会予稿集
Pages: 51-56
情報処理学会研究報告 IS-88
Pages: 43-50
情報処理学会研究報告 CH-62
Pages: 37-44
経営情報学会・2004年度秋季全国研究発表大会論文集 5E-1
Pages: 426-429
130004606021