Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
統計的推論の基本的手法である最尤推定法の研究を行った。ノンパラメトリックな確率測度族に対し最尤推定法を定式化し、最尤推定量の一致性を一般化した。一般化のポイントは、確率過程の独立性の仮定を外し、定常性とエルゴード性の仮定に置き換えたことである。これまでの一致性の証明においては、確率過程の独立性の下での大数の強法則の適用が本質的な役割を果たしているが、本研究では、Birkhoffのエルゴード定理とマルチンゲール収束定理が用いられる。本研究の結果はペナルティ関数を付加したノンパラメトリックな最尤推定法に応用可能であり、ペナルティ関数を付加した最尤推定量の存在と一致性を本章の枠組みで証明することができる。さらに、本研究で展開されたアプローチは、標準的な枠組みである密度関数のパラメータに関する最尤推定法にも応用することができ、確率過程の独立性と対数尤度関数の可積分性を仮定しないという点で、先行研究よりも一般的な結果が得られている。本研究をまとめた論文は欧米の専門誌に掲載採択され、近々出版予定である。さらに、上記研究で得られた結果を不確実性が存在する場合の動学的な意思決定問題に適用し、最適成長理論を再構築した。多くの既存研究では、経済の計画者が将来の技術や選好の真の分布を知っていることが仮定されている。それとは異なり、本研究で考察される経済の計画者は真の確率分布を必ずしも知らず、過去のデータを観察することによって真の確率分布を推定し、その推定に基づいて計画を立てる。このよう動学的意思決定問題の研究としてはベイズ的推定に関する研究など幾つかの研究があるが、それらの研究とは異なり、本研究では尤度増大的推定と呼ばれる別の手法を採用し、尤度増大的推定量の系列は、それが計画当局者の動学的な意思決定における最適な予想である限り、真の確率分布に収束することを示した。この結果をまとめた論文も欧米の専門誌に掲載採択され、近々出版予定である。
All 2005 Other
All Journal Article (2 results) Publications (1 results)
Journal of Statistical Planning and Inference (近刊)
Economic Theory (近刊)