戦後日本の電子工業における技術開発と技術者のメンタリティ及び意思決定
Project/Area Number |
14730065
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Economic history
|
Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
川合 一央 岡山商科大学, 商学部, 講師 (80330538)
|
Project Period (FY) |
2002 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | イノベーション / 技術開発 / 高等工業学校 / 現場 / 知識 / 技術蓄積 / 実習 / 技術者 / エンジニア養成機関 / 電子工業 / 高等工業専門学校 / メンタリティ / 高等教育 / 高等工業 / 大学 |
Research Abstract |
本研究はイノベーション生成プロセスの実証分析を行うものである。一昨年度以来の知見に基づいて、本年度は技術開発の担い手に着目して研究を進め、以下の成果をえた。 まず技術開発の担い手による手記を解析した。その結果、技術発展にとって、戦前期日本に存在した高等工業学校から輩出された技術者の役割が看過できないことが明らかとなった。高等工業学校出身者は、企業人としてのキャリアのなかで、帝国大学工学部出身者に比べて長い期間、製品開発や製品製造の「現場」にいることを求められた。その期間、高等工業学校出身者は、「現場」に生じた問題を、機械や電気に関わる工学的な言語や思考により、直接、解決する役割を果たした。この結果、彼らは「現場」で生じる現象、すなわち未だにテキスト化されていない現象を、工学的で理論的な知識へ変換すると同時に、「現場」に居ることによってのみ習得することができる知識を獲得した。彼らは、長期間「現場」に常在することで、「現場」で創り出された新しい技術を蓄積する担い手としての役割も果たした。 こうした技術者の企業における役割は、その出身学校における教育内容と緊密な関係にあった。すなわち「現場」において新しい技術を生成させる役割を、主として担った高等工業学校出身者が受けた教育は、全授業時間のうち実習が40%、工学に関わる講義科目が40%という「実習重視」の時間配分の教育だった。こうした教育課程に基づいて、学生たちは、講義を通じて工学に関わるテキスト化された知識と思考様式を習得しただけではなく、装置が存在する実習の「現場」で生じる現象を工学的な知識に基づいて理解する能力、また実際に「現場」において装置を運用する能力を習得した。 こうした教育を受けた学生が終戦までに8万2798人輩出され、彼らは戦前期を含めて、日本の「現場」におけるイノベーションの生成の主導者としての役割を果たした。
|
Report
(3 results)
Research Products
(2 results)