企業の保有する資産のilliquidityが負債比率に与える影響
Project/Area Number |
14730072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public finance/Monetary economics
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 克俊 青山学院大学, 経済学部, 助教授 (80292746)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 財務危機 / 清算コスト / 資本構成 / 不完備契約 / 資産のリストラ / 流動性 / 負債比率 / 土地比率 |
Research Abstract |
本研究は、Hart(1995)に代表される所有権アプローチに基づき、資産の非流動性(illiquidity)のもとでは、資産の清算にはコストがかかり、このコストが借り手企業の資本構成の重要な決定要因となっているという考えを実証的に分析したものである。契約の不完備性のために、財務危機に陥った企業はたとえ清算コストを負うとしても、債務返済のために資産のリストラを実行せざるを得ない。したがって、清算コストは負債コストの一つであり、清算コストの高い企業ほどより低い負債比率を選択するというのが理論的な仮説である。この仮説を検証するために、本研究では1976年から1999年までの日本の電気産業の財務データを使用した。最大で307社の24年分のパネルデータモデルを推定し、清算コストが資本構成の重要な決定要因であることが確かめられた。特に、1990年以前と以降にサンプル期間を分割して推計したところ、1990年以前には清算コストは負債比率の重要な決定要因ではなかったが、1990年以降に重要な決定要因となったという興味深い結果が得られた。本研究の第一の貢献は、負債コストに関する既存の実証的研究で分析されていない、不完備契約理論に基づく清算コストの重要性を初めて実証的に明らかにしたという点にある。Warner(1977)やAltman(1984)の研究で考察された負債の直接・間接コストに加えて、清算コストが重要な役割を果たしているという新たな結果をもたらすことができた。第2の貢献は、本研究が長引く平成大不況における不良債権問題に対して重要なインプリケーションを持っている点である。すなわち、企業の清算コストは、それを裏返せば、銀行が負わねばならない不良債権からの損失であり、不良債権問題を速やかに解決できない理由は、契約の不完備性のために、企業が清算コストを負わなければならないからである。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)