Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
無形資産の会計処理を議論する場合に中心となるのが,「識別可能性」(identifiability)という概念である。識別可能性は,のれん(goodwill)と他の無形資産を区別するためのメルクマールとして用いられてきた。本研究は,この識別可能無形資産の会計に着目したものである。 まず識別可能性という概念を精緻化するために,主としてアングロ・サクソン諸国における無形資産の会計規定を題材とし,いかなる意味で識別可能性という概念が用いられてきたのかを明らかにした。近年の動向をみると,より狭義の「分離可能性」や「法的権利」が,のれんと区別するためのメルクマールとして定着しつつある。 また識別可能無形資産の会計上の認識(計上)の問題について検討した。識別可能無形資産の認識に関する規定は,企業結合会計とのかかわりが大きい。たとえば,イギリスにおける「ブランド」(brand)やアメリカにおける「仕掛中の研究開発資産」(in process research and development)は,その端的な例といえる。アニュアル・レポート等の検討からわかるように,いずれも実務が先行しており,パーチェス法適用時に通常用いられる公正価値ないし市場価値の他にも,現在価値や原価による測定が行われてきた。組織的な市場が存在する金融資産とは異なり,多様な測定技法が必要なのである。しかし,会計数値の信頼性や測定可能性という観点から認識を抑制すべきという主張がある一方で,目的適合性の観点から積極的に認識すべきという主張もあり,認識をめぐる議論はいまだ収束していない。 このように,識別可能性をめぐる議論は,無形資産の測定と認識に深くかかわるものであり,将来においても重要な研究課題といえる。
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