日米欧の病院管理会計の現状と課題の実態調査に基づいた適切な管理会計の実地適用研究

• Project/Area Number: 14730124
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Field: Accounting
• Research Institution: Osaka City University
• Principal Investigator: 荒井 耕 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (90336800)
• Project Period (FY): 2002 – 2004
• Project Status: Completed (Fiscal Year 2004)
• Budget Amount: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000); Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000); Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000); Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
• Keywords: 病院 / 管理会計 / 原価計算 / バランスト・スコアカード / 医療 / 経営管理 / コスト・マネジメント

Research Abstract

本年度は、イギリス医療界におけるバランスト・スコアカード(BSC)の展開について日本の展開と比較しながら明らかにし、日本への示唆を得た。具体的には、イギリスにおいては個別医療機関レベルでよりも、一国の医療提供システムレベルあるいは診療圏レベルでのBSCの議論及び実践が多く、医療提供システム全体としての効率性・有効性の向上を目指したベンチマークや各病院共通の枠組みによるアカウンタビリティ、また診療圏内の医療機関の連携の促進などに主目的があることが明らかになった。一方、日本医療界における議論は個別法人・施設レベルでの議論・実践に止まっており、アカウンタビリティという観点がほとんど欠落している。
本年度はまた、過年度における英米及び日本の病院管理会計についての実態調査に基づいて、病院における個々の管理会計手法の相互関係について考察するとともに、現在、ある病院でその実地研究を試みている。具体的には、戦略を落とし込んだBSCの下で、具体的なプロセスマネジメント手法である診療プロトコルマネジメントが展開され、また予算管理システムも運用される一方、その結果がBSC上の成果として表れ、BSCの修正へとつながる。また診療プロトコルマネジメントと一体化する形で活動基準管理(ABM)が展開され、加えて品質コストマネジメントが実施されることもあり、その情報はBSCや診療プロトコル・ABM実践上の重要な情報となる。さらにこれら各種の管理会計手法に原価情報を提供する原価計算システムがある。こうした病院管理会計システムはアメリカで最も発達しており、日本では品質コストマネジメントはもちろんのこと、英米においては一般的な基本的な予算管理システムすらまともに整備されていない。
今後はこの病院管理会計システムの実地研究を継続し、そこで生じる問題点などを解明し、より適切な病院管理会計モデルを構築する必要がある。

Research Products

• [Journal Article] イギリスにおける医療バランスト・スコアカードの展開から学ぶ(1)3つの医療バランスト・スコアカード・モデル (2005)
  • Author(s): 荒井耕
  • Journal Title: 社会保険旬報 2233 Pages: 26-31
  • NAID: 40006794247
• [Journal Article] イギリスにおける医療バランスト・スコアカードの展開から学ぶ(2)医療提供システム共通BSCモデルとしてのNHSのPAF (2005)
  • Author(s): 荒井耕
  • Journal Title: 社会保険旬報 2234 Pages: 27-31
  • NAID: 40006794256
• [Journal Article] イギリスにおける医療バランスト・スコアカードの展開から学ぶ(3)二つの地域における診療圏連携BSCモデルの取組み (2005)
  • Author(s): 荒井耕
  • Journal Title: 社会保険旬報 2235 Pages: 16-21
  • NAID: 40006794260
• [Journal Article] 医療バランスト・スコアカードの展開の日英比較 (2005)
  • Author(s): 荒井耕
  • Journal Title: 会計検査研究 31 Pages: 195-206
  • NAID: 40006675902
• [Journal Article] 日本における病院マネジメント研究の展開と展望 (2004)
  • Author(s): 浜井, 荒井, 川村
  • Journal Title: 経営研究 54(4) Pages: 97-121
  • NAID: 110000180955
• [Journal Article] The Rise of Balanced Scorecard Efforts in Japanese Hospitals -BSC Efforts in Mie Prefectural Hospitals as an Advanced Case- (2004)
  • Author(s): Arai, K.
  • Journal Title: Business Review (Osaka City University) Vol.15 Pages: 25-37
• [Book] 医療バランスト・スコアカード (2005)
  • Author(s): 荒井 耕
  • Total Pages: 250
  • Publisher: 中央経済社
• [Publications] 荒井耕: "医療分野における管理会計の展開-私企業管理会計の活用-"会計. 163(5). 717-729 (2003)
• [Publications] 荒井耕: "三重県立病院におけるバランスト・スコアカード活動の展開:因果連鎖の重視"経営研究. 54(1). 21-46 (2003)
• [Publications] 荒井耕: "病院界における部門別原価計算システムの現状"企業会計. 56(2). 119-125 (2004)
• [Publications] 荒井耕: "三重県立病院の導入事例:病院事業庁主体で始まったバランスト・スコアカード活動"社会保険旬報. No.2168. 22-30 (2003)
• [Publications] 荒井耕: "三重県立病院の導入事例:病院主体のバランスト・スコアカード活動の進展"社会保険旬報. No.2169. 32-38 (2003)
• [Publications] 荒井耕: "三重県立病院におけるバランスト・スコアカードの特徴・先進性と今後の課題"社会保険旬報. No.2170. 20-26 (2003)
• [Publications] 荒井耕: "米国病院界におけるバランスト・スコアカード 1.視点枠組み"病院. 61(5). 396-401 (2002)
• [Publications] 荒井耕: "米国における病院バランスト・スコアカードの因果連鎖:現状と課題"経営研究. 53(1). 61-76 (2002)
• [Publications] 荒井耕: "米国病院界におけるBSC浸透の背景・期待と評価"企業会計. 54(6). 115-123 (2002)
• [Publications] 荒井耕: "米国病院界におけるバランスト・スコアカード 2.設計対象・事例と評価"病院. 61(6). 487-492 (2002)
• [Publications] 荒井耕: "病院原価計算の洗練化の方向:RCC法の問題性とABCの可能性"経営研究. 53(2). 129-141 (2002)
• [Publications] 荒井耕: "メイヨークリニックにおける看護コストマネジメントシステムとその日本での活用可能性"経営研究. 53(3). 135-148 (2002)