Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本年度は,最初に,住友電工(株)グループにおけるラインカンパニー制の情報特性ならびに運用方法に対するカンパニー・リーダーの認知様式が,内発的動機づけに及ぼす効果を実証的に分析した。その結果,情報特性・運用方法が,リーダーに情報的事象として認知されている場合,有能感を媒介して内発的動機づけに正の効果を,それらが制御的事象として認知されている場合,強制感を媒介して内発的動機づけに負の効果を及ぼしていることを明らかにした。 次に,上記の分析結果を受け,「同じ」ラインカンパニー制を導入しているにもかかわらず,その情報特性・運用方法に対するリーダーの認知様式が異なる理由を明らかにした。認知様式の相違が有能感や強制感を媒介して間接的に内発的動機づけを促進あるいは抑制していると考えられるわけであるから,その理由を明らかにすることは重要である。 ラインカンパニー制に対する認知様式は組織間で異なっており,その組織間の相違をもたらす原因は組織文化にあることが明らかにされた。本研究では住友電工グループ7社からデータを収集しているが,それに基づき因子分析を行い組織文化の次元を抽出したところ,慣行レベル(カンパニー・リーダーの観点からの管理者の慣行)の組織文化次元として「暖かみ」,「コントロール(部下に自由裁量の余地をほとんど与えず,自分で指示する)」,「困難な課題設定」,および「自律性支援」の4つが見出され,価値観レベル(カンパニー・リーダーの価値観)の組織文化次元として「利益第一主義」,「実験主義」,および「慎重主義」の3つが見出された。そして,これらの組織文化の次元と,特定の組織におけるリーダーの認知様式の全体的傾向との間の関係を追及したところ,「暖かみ」,「自律性支援」,「実験主義」の程度が高い組織では,ラインカンパニー制の情報特性・運用方法に対して組織的に情報的と認知する傾向が高いことが明らかにされた。なお,これについては,2004年9月の日本会計研究学会にて,「ラインカンパニー制の効果に対する組織文化の影響」というタイトルで研究報告を行う予定である。
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