Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度の研究実績は以下の通りです。多くの非線形現象の時間的変化を数学的に扱える方法として『力学系理論』があります。通常の力学系の安定性の理論は、既に多くの研究者によって様々な角度から研究されています。本研究では、解の一意性が示されていない非線形現象を解明する目的で、多価力学系に対する安定性理論を展開します。昨年度、解の一意性が保証されていない時間周期多価力学系の抽象安定性理論を構築しました。そこで本年度は、昨年度の研究成果を踏まえ、解の一意性が保証されていない漸近的時間周期多価力学系に対する安定性理論の構築を行いました。具体的には、『漸近的時間周期劣微分作用素が漸近的に時間周期劣微分作用素に収束する』ことの意味を明確にし、漸近的時間周期で変化する凸関数の劣微分に支配される非線形発展方程式により生成される多価力学系の安定性理論を構築しました。つまり、漸近的時間周期多価力学系に対する漸近的時間周期アトラクターの存在を示すとともに、『漸近的時間周期非線形発展方程式のアトラクターは、極限である時間周期アトラクターによって特徴づけられる』ことを示しました。本年度の研究成果により、漸近的時間周期地域経済成長問題の安定性を非線形発展方程式論の立場から研究できるようになりました。地域経済成長問題は、解の一意性が保証されていません。従って、本年度構築した漸近的時間周期多価力学系に対する安定性理論を用いることで、地域経済成長問題の漸近的時間周期安定性を解の一意性なしで考察できるようになりました。更に、漸近的時間周期地域経済成長問題と極限である時間周期地域経済成長問題の関連を研究することができるようになりました。
All 2004 Other
All Journal Article (3 results) Publications (6 results)
Abstract and Applied Analysis 2004
Pages: 651-682
Electron.J.Differential Equations 2004
Pages: 1-22
120006459358
GAKUTO International Series Mathematical Sciences and Applications Vol.20
Pages: 352-367
120006459343