Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究課題の最終年度である今年度はDamien Gaboriau氏のエルゴード変換群に対する新しい不変量「コスト」に対する最近の仕事の作用素環論での枠組みでの理解、及びその手法に基づく可測離散擬群までの拡張を与えることに少々の時間を費やした。当初の見込み通りこの試みは概ね成功し、秋に東京大学大学院数理科学研究科にて行った集中講義でその概略を解説した。また、この試みを発表することはGaboriau氏の仕事に関係するいくつかの話題に新しい視点を提示するものとして重要であると考えられることから論文を現在準備中です。一方、昨年論文にまとめた作用素環に対するHNN構成法の研究を進めた。今年度問題にしたのは自己準同型から生じるHNN構成で、これはもとの群論ではascending HNN構成と呼ばれるものです。具体的には、ある種の場合、一般的なHNN構成とは大きく異なって従順性を持ったものが生じ易いと想像出来るのですが、一般的な条件の下でascending HNN構成から生じるフォン・ノイマン環が適当な部分環に対する相対従順性をもつことを示すことにより、このことを明らかにしました。また、1、2年程前にMonod-Popa及びPestovにより独立に、群の相対従順性についてのある問題に対してやや異なる反例が与えられていたのですが、今回の結論と少しの計算によりこれらの反例の間の具体的な関係を明らかにすることが出来、実際には本質的に同じ例を与えていることが説明出来ます。この成果は、9月にオスロで行われたアーベルシンポジウムでの講演で発表しました。この内容はまだ更に研究が続いているのもあって論文の形では発表はしていません。また、自由確率論関係では自由エントロピー理論の研究を前年に引き続き行いました。多くの部分は東北大学の日合文雄氏との共同研究の中で行いました。成果の一部は日合氏との共著論文の形で発表しました。
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J.Funct.Anal. (In press)
120006714541
Probab.Th.Relat Fields 130
Pages: 199-221
Canad.Math.Bull. (In press)