Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
大阪市立大学理学研究科棟の屋上に設置した試験用の空気シャワーアレイを利用し、空気シャワー粒子到来時刻較正システムの稼動試験を行った。試験データの解析から、以下の知見を得た。1.アレイを構成する検出器と電子回路を繋ぐ信号ケーブルの温度変化に起因し、同軸ケーブルの絶縁体の誘電率が変化するため、日中にケーブルの信号伝達速度が速くなる。その結果、空気シャワー粒子到来時刻に見かけ上の日周期変動が現れる。2.時刻較正の統計精度を目標値のナノ秒以下に抑えるには、較正用トリガーの頻度を1Hz程度に設定すればよい。この値は空気シャワー事象の頻度より十分小さいため、データ収集システムの不感時間を増すことなく較正システムを導入することができる。上記の較正システムを拡張・量産し、インド、Ootyの空気シャワーアレイシステムに導入した。本較正システムは2004年3月より稼動を開始し、現在取得したデータの解析を進めている。予備的な解析結果から、本較正システムに関して以下のような知見、問題点を得た。3.上記1と一致する空気シャワー粒子到来時刻の日周期変動を確認した。変動幅は最大で3ns程度であり、これは到達目標である1°以下の角分解能に対し無視できない影響を及ぼす。従って、本較正システムに基づく時刻補正は有効に働くものと期待できる。4.信号ケーブルが230mと長いため、較正用のテストパルスは形を大きく歪められてしまう。これが日周期変動幅と同程度の系統誤差を生成している可能性が高い。今後更に詳細な解析を進め、系統誤差の原因を調べる。また、月の影の解析等から角分解能を評価する。
All Other
All Publications (10 results)