Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
現在の情報社会において最も実用化へのニーズの高いデバイスは大容量高速不揮発メモリであろう。中でも微小磁性素子の磁気抵抗効果を用いたMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)が有望視されている。現状のMRAMでは、パルス電流によって発生する磁場を用いて素子の磁化方向を反転して書込みを行うが、この方式では微小化に伴い大電流が必要となり集積化には限界がある。最近の研究により、スピン偏極した電流に伴うスピントルクで磁化を直接反転させることも可能であることがわかり、この場合は集積化において大きなメリットがあるため多くの期待を集めている。電流による磁化反転の問題に対して、磁化そのものを一度に反転させるのではなく磁化の境界である磁壁を電流で駆動することで磁化反転を行う可能性を調べ、微視的立場からの理論定式化に成功した。その理論に基づき臨界電流の理論式の導出などいくつかの応用に向けて重要な事実を見いだした。また、慶応の実験グループと共同で行った研究では、金属細線に交流電流をかけそれに対する共鳴を利用することで、10^{10}[A/m2]以下という小さな電流で磁壁を動かすことに成功し、同時に磁壁の質量や抵抗及び主な駆動メカニズムの定量的同定に成功した。その結果、電流からの運動量移行による圧力が共鳴効果により増幅され、それが小電流での磁壁駆動の主因となり、一方スピントルクはほとんど効いていないことがわかった。この結果は初めてメカニズムを明らかにしただけでなく、交流電流を用いて効率よく磁壁移動を行えることを示しており実用化に向けても多くの示唆を含んでいる。
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