Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、生体膜というある程度の大きさを持った構造体を扱うため、濃度場を動的変数とした自由エネルギーを用いて研究を進めている。本年度は(コイル・コイル)ブロック共重合体とロッド・コイルブロック共重合体についてその物性を詳しく調べた。これらの物質は生体2重膜の構成要素であるリピッド分子に非常によく似た性質をもつことで知られている。ブロック共重合体は転移点以下ではミクロ相分離を起こし、ラメラ・シリンダー・BCC球構造といったメソスケールの周期構造を形成する。生体中で見つかっていたジャイロイド構造もまたブロック共重合体のミクロ相分離構造として形成されることがわかり、平衡構造の研究が盛んに行われている。近年、平衡構造のみでなく、転移のダイナミクスを調べる実験が始められ、注目を集めている。しかしこのジャイロイド構造は他の構造と平衡周期が異なり取り扱いが難しい。そこで、本研究では2モード近似により運動方程式から振幅方程式を導出し、それを用いてジャイロイド構造の安定性と構造間の転移キネティクスを調べた。本年度はジャイロイドのみでなく、無秩序状態と他の安定周期構造との転移ならびに安定周期構造間の転移のダイナミクスを詳細に調べた。とくに、転移中にみられる中間構造に焦点を当て、それらの構造の解析を行った。また、ラメラ構造の不安定化するときモードも線形安定解析で調べた。ロッド・コイル共重合体に関しては、分子がもつ弾性が相分離構造やその安定性にどのような影響を及ぼすかが興味深い。濃度場を動的変数とした時間発展方程式の計算機シミュレーションを行い、ロッドが多いドメインで弾性エネルギーが効いてドメイン変形を引き起こすことを確認した。また、外場をかけることで、ドメイン構造を安定化させ、モルフォロジーをコントロールすることができることがわかった。
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J.Phys.:Condens.Matter (発表予定)
Macromolecules 37・15
Pages: 5762-5777