Project/Area Number |
14740237
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
下條 冬樹 熊本大学, 理学部, 助教授 (60253027)
|
Project Period (FY) |
2002 – 2003
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | ナノ構造 / グラファイト / 水素 / 刃状転位 / 第一原理計算 / 分子動力学法 / 理論 / シミュレーション |
Research Abstract |
前年度に引き続き、有限温度での第一原理・古典融合型分子動力学シミュレーションを行い、ナノ構造化グラファイト中の水素の挙動を調べた。特に、本年度では脱水素化のミクロな機構に注目して研究を遂行した。酸素燃焼水素定量分析などの実験によると、ナノ構造化グラファイト中での脱水素化過程の特徴は、昇温過程において、800Kと1000K付近の二つの温度に水素放出ピークが存在することである。ナノ構造化グラファイト中には、グラファイト面の端にある炭素原子と強く結合している水素と、炭素原子とは結合せずに分子状態にある水素が存在する。本研究により、グラファイト内での分子状水素の易動度は非常に高いことがわかった。つまり、昇温により分子状水素は比較的容易に拡散・脱離し、これが低温側(800K)での水素放出ピークを与えていると考えられる。一方、高温側(1000K)の水素放出ピークを、炭素原子と強く結合している水素に起因するとすぐに結論付けることはできない。炭素-水素の結合エネルギー、反応過程のエネルギー障壁はeV程度であり、実験的に本素放出が観測されている温度領域では、炭素-水素の締合が切れるとは考えられないからである。そこで、脱水素化過程には欠陥構造の温度変化が直接に関係すると予測し、ナノ構造化グラファイトの再結晶化過程を取り入れてシミュレーションを行った。その結果、グラファイト面の二つの端が繋がり再グラファイト化する際に、炭素と結合していた水素が分子を形成する形で脱離することが明らかになった。このような再結晶化による脱水素化過程が、高温側(1000K)の水素放出ピークを与えていると考えられる。
|