Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では我々が開発した原子波多重干渉計を用いて、原子に外部磁場を印加し生じた原子波の位相シフトにより原子波の多重干渉を実現することを目的としている。本年度は、まず残留磁場の改善とパルス磁場の校正を行い、その後に昨年度作成した原子波多重干渉計と磁場発生装置を用いて原子波多重干渉信号の測定を行った。まず、残留磁場のさらなる改善を行った。購入したベースプレートを用いることで、実験装置のまわりから不要な磁場を取り除いた。また、購入した電源からアンチヘルムホルツコイルに電流を流すことにより、空間的に不均一な磁場を補正することができ、コヒーレンス長を改善することができた。また、多重ラムゼー共鳴による周波数シフトから、原子干渉計に用いるコイルが作るパルス磁場の大きさを校正した。そして、コイルのスイッチング回路を改良することで磁場の掃引幅を改善した。以上の改善と校正を行った後に、磁場による原子波の位相シフトによる原子波多重干渉計の測定を行った。まず、レーザー光を4パルス、磁場を3パルス用いることで原子波多重干渉計の測定を行い、実験結果と理論値がよく一致することを確認した。次にレーザー光を11パルス、磁場を10パルス用いることで、フィネス11の多重干渉信号を実現することができた。これは原子波の位相を外部摂動で動かす原子の多重干渉としては、世界で最も高い値である。また、これにより原子波多重干渉計の実際的な証明ができた。以上の研究成果を論文にまとめ投稿し、掲載された。
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