Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
前年度に引き続き,遷移金属硫化物の観察とともに極低温下での走査トンネル顕微鏡の安定動作のための評価を行った.前年度までには本研究に必要なトンネル分光測定においてバイアス変調法を用いた場合と直接,トンネル電流のI-Vカーブからギャップを見積もった場合とで標準試料であるNbSe_2の電荷密度波ギャップを観察した場合にスペクトル形状が異なる問題が生じていたが,時定数やバイアス掃引方法の見直しにより若干の改善が見られた.しかしながら,依然として探針や試料表面位置の違いによるスペクトルのばらつきが非常に顕著であり,さらなる改善が必要であることがわかった.これらの測定系の改良に加え,本研究のターゲット物質である層状遷移金属硫化物M_xTiS_2(M=Ni, Fe)の表面構造を大気中でもちいる簡易型STMを用いて評価した.碧開により得られたNiTiS_2の表面はいずれも層間への遷移金属の挿入にともなう3次元性増加に対応して,NbSe_2などと比較しても表面粗さが大きいが,さらにx=0.25以外の試料ではステップの観察も困難なほど表面構造が粗いことがわかった.これは化学量論比からはずれた組成の試料では面内における挿入金属の分布が不均一であり,碧会によって平坦な表面が出にくいためと考えられる.また,前年度よりの課題であった装置真空槽内で破断処理もあわせて行ったが歩留まりが非常に悪く,破断装置もさらなる改良が必要である.今後はまず量論比の試料x=0.25に対象をしぼり,真空中での原子分解能の構造観察を試みていく予定である.
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