Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
前年度に引き続き、本年度は以下の研究を行った。1:日本国内における現状調査日本の地方都市のうちから、山形県新庄市、長崎県厳原町、石川県加賀市、三重県鳥羽市を選び、中心市街地の実情を調査した。その結果主に次のような事項を指摘した。・中心市街地には人々がある程度の時間をそこで過ごすようなセミパブリックなスペースがない・中心市街地の空間は誰も占有できないパブリック空間と外部との交流が少ないプライベート空間に二極化している。2:地方都市住民の行動パターンについて1で対象とした都市の一部において、住民の行動パターンに関するアンケート調査を行い、地方都市では目的地間の移動が短距離でも車でなされることが多く、その結果、移動経路たるパブリックスペースと接する時間が極めて短いこと、また目的施設の分布が、中心市街地の範囲とはほとんど関係のないことが判明した。3:海外の「交流施設」に関する分析前年度の調査結果を元に、海外における交流施設としての飲食施設の特質や周辺環境について、次の点を指摘した。特質:飲食施設から外部への情報発信が積極的に行われている。交流活動そのものを外部に見せるだけでなく、客がいないときでも交流を予感させる。利用客層は限定的ではない。立地条件:施設の面するパブリック空間の質が高い。水辺、広場や歩行者用の街路空間、車の交通量が少ない道路など。交通条件:中心市街地への公共アクセスがよい(バス、トラム)。中心市街地への車の進入を規制していることが多い。歩行者用交通路のネットワークができている。制度:自治体は都市計画として郊外の開発抑制と、中心市街地の再整備を進めているが、直接的に賑わい創出を目的とする動きはほとんどない。4:日本の地方都市における交流拠点整備への提案日本において交流拠点としての飲食施設を成立させるために、上記の研究成果を用いた提言を行った。