Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究のテーマは水溶液からの疎水性化合物の結晶化とそれを利用した自己組織化操作の開発である。これらの内容の本質的に重要なことは,疎水性化合物の希薄溶解度の特性である. 助成していただいた3年間の研究成果を以下に要約した. 1)水溶液中の希薄溶解度の液液,固液の相平衡の決定 有機化合物は水溶液に対して希薄に溶解する領域を,強力な物理化学的溶液論に基づいて,明確に表現した. 2)それらの溶解度を利用した新しい結晶化分離操作の開発 これは前回の研究成果とも重なる部分であるが,水溶液に対する疎水性効果を狙った結晶化分離操作を実証した。 3)液液相互溶解度と固体溶解度の共存とOstwald Ripening現象の発現 液液相互溶解度曲線による乳化現象から固体溶解度曲線の結晶化現象への転移は,準安定領域から安定領域へのOstwald Ripeningであることを実験的に,熱力学的に明らかにした. 4)分子シミュレーションによる液液クラスターと結晶クラスターの溶液構造の違い 水溶液中の希薄疎水性物質の分子シミュレーションによって,乳化は不定形の液クラスターであり,未飽和領域でも常時生成・分裂する液滴であり,一方結晶核は結晶構造を有する分子構造体であり,これは過飽和でないと生成せず,しかも1度生成すれば安定な結晶核であることを示した.その時の生成機構の違いは局所組成の揺らぎに現れることを明らかにした. 5)ナノメータサイズの疎水性結晶粒子の生成操作 乳化->結晶化プロセス(不均一核化現象)と直接結晶化プロセス(均一核化現象)の2つのプロセスについての実験を行い,ナノメータサイズ粒子の粒度をDLS(Dynamic light scattering)で測定した.乳化->結晶化プロセスでは結晶粒子が比較的大きく,500nmの平均粒径でエタノール濃度や冷却温度に影響されないこと,直接結晶化プロセスでは結晶粒子が比較的小さく,30nm-150nmの範囲で平均粒径が変化し,エタノール濃度が高くなると,冷却温度が高くなると平均粒径が大きくなることが分かった.よって,ナノメータサイズの結晶粒子の大きさをコントロールして生成するには,均一核発生が成立する条件で,しかも成長プロセスのない核化プロセスだけの希薄領域で行えば良いことを結論とした.
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