Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Research Abstract |
走査型電気化学顕微鏡(SECM)は,プローブ電極に電位を印加しながら試料表面を走査することによって電気化学的活性種の空間分布をイメージとして得るものである.しかし,SECMから得られるデータはプローブ-試料間の距離の影響を強く受けるという問題点がある. 本研究では,微小振動するプローブが試料表面に接近したときに働くシアーフォース(剪断応力)を,プローブ電極に取り付けた音叉型水晶振動子に誘起される信号の減衰として検出し,フィードバック制御することによりプローブを試料に極限まで接近させつつ,距離を常に一定に保つことが可能なSECMシステムを構築した. 14年度において,本システムが酵素反応の電気化学的検出における感度・イメージ解像度の向上に有効であることを明らかにした.そこで本年度では,本システムの酵素反応による抗体-抗原反応の検出(エンザイムイムノアッセイ)への応用についての検討を行った. 測定対象としては,プラスチック類の可塑剤として大量に使用され,近年「環境ホルモン」として環境中への流出が問題となっているフタル酸ジブチル(DBP)を選んだ.Au電極上にDBPを特異的に認識する抗体をチオール単分子膜および架橋剤(グルタルアルデヒド)を用いて固定し,この電極上にDBPを含む測定サンプルと酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ,HRP)で標識した標準抗原を添加して固定化抗体,DBPおよび酵素標識抗原との間で競合的に抗原-抗体反応を行わせた.その後本SECMシステムでHRPの酵素活性イメージングを行ったところ,測定サンプル中のDBP濃度が高くなるに従って抗体に結合したHRP標識抗原の数が減少し,酵素触媒電流が低下した.従来のSECMシステムと比較するとプローブ電極を極限まで接近させることができるため,数ng〜数10ng/mlのレベルでDBPの高感度検出が可能であった.
|