Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
前年度の成果を引き継ぎ、本年度も、人工衛星の膨大な時系列運用データの中からシステム異常を早期発見する上で重要なパターンを抽出し、効果的に人間(専門家)に提示するためのデータマイニング手法の研究を行った。特に本年度は、新たな手法として「回帰木学習による適応的リミット値監視法」を提案し、その有効性を示した。リミット値監視法は、従来の宇宙機健康状態監視において最も基礎的、かつ、広範に用いられている手法であるが、一般に、(1)事前に人手によって適切なリミット値を設定しなければならず、設定された値は運用期間全体を通して固定される、(2)誤警報を減らすために大きなマージンを設定することが多く、また、システムコンポーネント間の依存関係を考慮しない、などの限界があるため、きめ細かい監視には不向きで、システムの異常の兆候を早期に捕捉することが極めて困難であった。これに対して本研究に、機械学習・データマイニングの一手法である回帰木学習法を宇宙機テレメトリデータの多次元時系列データに応用することにより、対象となるセンサー値時系列データの範囲(上限・下限)を、他の関連シンボル値時系列との依存関係に基づいて適切に予測する方法を確立した。この提案手法により、宇宙機システムの稼働状態の健全性や異常値の発生を、従来手法と比べて非常にきめ細かく監視することが可能になった。上記の成果は国際学会等で発表されており、また、学術論文誌にも投稿予定である。
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