Project/Area Number |
14760025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物保護
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Research Institution | National Agricultural Research Organization (2003) The University of Tokyo (2002) |
Principal Investigator |
宮田 伸一 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所・生産環境部, 主任研究官 (00313015)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | タマネギ萎黄病 / ファイトプラズマDNA / ファイトプラズマの大量増殖 / 篩部局在性 / ゲノムの退行性進化 / 師部局在性 / PFGEによるゲノムDNA精製 |
Research Abstract |
本研究では、重大な病害を引き起こす植物病原体であるファイトプラズマのゲノム構造の全容を世界に先駆けて解明し、その宿主決定機構に関する基盤的知見を得ることを目的としている。 平成15年度は、前年度までに確立された高度に精製されたファイトプラズマゲノムDNAを抽出し、Sau3AI等による改良ファージライブラリーを作製した。スクリーニング等によってゲノミックライブラリーを検定し、高品質のライブテリーが作製されたことを確認できた。そこで、前年度までの情報を元にゲノミックウォーキングに取り組み、またゲノムのギャップ領域をLong PCRによって取得し、塩基配列を決定した。その結果、モデル系統・タマネギ萎黄病ファイトプラズマ(OY)の弱毒株、OY-Mの約860bpの全ゲノム構造を明らかにすることができた。 全塩基配列情報より遺伝子領域を推定した後、データベース照合による機能遺伝子の推定を行い、さらに遺伝子構成について調べたところ、同じMollicutes綱細菌であるマイコプラズマよりも少ない代謝系遺伝子しかコードされていないことが判明した。ペントースリン酸回路に関与する遺伝子や、予想外なことにATP合成酵素のサブユニットなど、これまで生命維持に必須と思われていた遺伝子が欠落していた。これは、ファイトプラズマが細胞内という栄養分の豊富な環境下に生息するうちに、退行的なゲノム進化を遂げた結果であると考えられ、生命が生きていくのに必要な「最少遺伝子」を議論する上で重要な知見となる。 本研究課題によって絶対細胞内寄生性の植物病原細菌として初の全ゲノム解析に成功し、ゲノムの退行性進化について重要な証拠を明らかにしたことは、国内外において非常に高く評価されている。
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