Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
研究実施計画に基づき実験を行い、以下の成果を得た。色素体分裂制御シロイヌナズナ葉緑体分裂異常変異体ark11のMinDコード領域中に一アミノ酸置換をもたらす一塩基変異を見出した。野生型MinDタンパクのC末にダブルHAエピトープを付加した融合タンパク(MinD : dHA)をMinDプロモーターarc11で発現させたところ、異常形質が回復した。arc11がMinD変異体であると共にMinD : dHAが機能タンパクであることが示唆された。葉緑体FtsZは一次構造上FtsZ1とFtsZ2の二種に分類されるが、FtsZ1C末にGFPを融合したタンパクをシロイヌナズナ野生株で発現させたところ、既知のZリングが葉緑体分裂部位で観察された。FtsZ1:GFPは葉緑体のみならず非光合成組織の白色体でもZリングを形成し、分裂収縮部位と局在を共にした。一方、FtsZ2:GFPはZリング形成能を失っていた。FtsZ2に対しては保存領域に対するペプチド抗体を作製した。MinEについては、GFP融合タンパクが、単独タンパクと同様にカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaMV35Sp)による過剰発現により葉緑体分裂異常を引き起こしたため、機能タンパクであると結論した。以上より、既知葉緑体分裂因子の挙動を解析するツールが整った。色素体管状構造形成CaMV35Sp制御下FtsZ1cDNAを強制発現する形質転換シロイヌナズナを作出した。葉と胚軸の表皮細胞で色素体管状構造が活性化していることを観察した。しかし、シロイヌナズナの色素体管状構造は組織間更には細胞間で形成状況が大きく異なっていた。更なる解析に向けて、管状構造の保存性がより高い植物組織を検索した。CaMV35Spと色素体移行配列を持つGFPを用いた一過性発現系により、タバコアルビノ変異体で有意な管状構造活性化を観察した。