核内転写因子の発現を制御する高度不飽和リン脂質に関する研究
Project/Area Number |
14760131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 雅史 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (10241374)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 高度不飽和リン脂質 / 核内転写因子AP-1 / c-Jun / JNK / c-Fos / PPARγ / 核内転写因子 / c-myc mRNA / サイクリンD1 |
Research Abstract |
昨年度の研究において、DHA含有ホスファチジルエタノールアミン(DHA-PE)がdibutyrylcAMP(dbcAMP)によるヒト白血病HL-60細胞の分化誘導を顕著に亢進することを明らかにした。更にその過程で核内転写因子のAP-1を構成するc-Junタンパク質の発現増加を確認した。AP-1は、c-Jun/c-Junのホモダーマーまたはc-Jun/c-Fos、c-Jun/ATF-2のヘテロダイマーによって構成され、MAPキナーゼにより活性化されることで分化に関連する遺伝子を発現する。これらの結果を踏まえ、本年度は以下の点を明らかにした。 1.DHA-PEとdbcAMPを併用した場合c-Fosタンパク質並びにそのmRNAの強い発現がみられたが、dbcAMPの単独処理におけるc-Fos発現量との間に大きな差が見られなかった。よって、dbcAMPによる分化の誘導にはc-Fosおよびc-Junの双方が重要な役割を果しているが、DHA-PEとの併用効果に発現にはc-Junタンパクがキーレギュレーターとなっていることが示唆された。 2.DHA-PEとdbcAMPにより併用処理したHL-60細胞では、MAPキナーゼの一つであるJNKが培養初期において一過的に活性化された。これによってAP-1の転写活性も高められ、分化に関連する遺伝子の発現が亢進されることが示唆された。 3.DHAをリガンドとすることが知られている核内受容体のペルオキシソーム増殖薬応答性受容体(PPAR)γの発現への影響を調べたが、その発現への影響は認められなかった。 以上の結果から、DHA-PEは分化誘導物質であるdbcAMPと併用することにより、c-Junの発現亢進とJNKの活性化により核内転写因子AP-1の転写活性を高め、ヒト白血病HL-60細胞への分化誘導効果を亢進することが示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)