Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
【研究概要】膜糖蛋白質とLポリメレース遺伝子にアミノ酸の相違が認められ、Lewisラットにおいて異なる神経病原性を示す2株のボルナ病ウイルス(BDV)CRNP5株およびCRP3株の神経病原性を、新生仔F344ラットならびにその母ラットへの自然感染について解析し、Lewisラットの系と比較した。その結果、仔ラットにおける発症の経過はF344ラットの方が遅い傾向にあったがLewisラットとほぼ同様の病態を示した。また、母ラットへの感染伝播はCRNP5株感染仔ラットを保育した1頭のLewis母ラットにおいてのみ認められ、LewisならびにF344両系統を通して経口伝播は起こりにくいことが示唆された。【研究結果】1)系統の異なる仔ラットにおけるBDVの病原性の比較CRP3株を感染した新生仔LewisならびにF344ラットは4から5週間の観察期間中に明らかな運動機能障害を示さなかった。一方、CRNP5株に感染した場合には、Lewis仔ラットは感染16日目に全てのラットが重篤な運動機能障害を主徴とする神経症状を呈し、感染20日目に全て死亡した。F344仔ラットも、感染16日目に全てのラットが重篤な神経症状を呈し、感染25日目に全て死亡した。2)BDV感染仔ラットを哺乳した母ラットにおけるボルナ病発症の解析CRNP5株感染仔ラットを哺乳した3匹の母ラットのうち1頭が重篤な運動機能障害を示し致死的な病態となったため安楽死した。このラットの大脳皮質から高力価(1.2x10^7TCID_<50>/g)のBDVが検出され、さらに脳の病理組織学的解析により、重度の脳炎病変ならびにBDVウイルス抗原が認められた。一方CRP3株感染仔ラットを哺乳したLewis母ラット4匹、およびCRNP5株感染仔ラットを哺乳したF344母ラット6匹は観察期間中特に神経症状を示さず、脳内にもウイルスは検出されなかった。
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