がん細胞運動とマトリックスメタロプロテアーゼ活性発現の協調的制御機構の解析
Project/Area Number |
14770059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Pathological medical chemistry
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
滝野 隆久 金沢大学, がん研究所, 助教授 (40322119)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 浸潤 / 転移 / 細胞運動 / MMP / MT-MMP / 情報伝達 / 分解酵素 / 情報伝達機構 |
Research Abstract |
細胞外マトリックス分解と細胞運動の協調的制御が癌の浸潤・転移の成立するに必須である。しかし、その協調的制御機構については未だよくわかっていない。本研究では癌浸潤・転移に重要な役割を担うMT1-MMPの細胞運動における役割を解析した。MT1-MMPを発現しているHT1080細胞をI型コラーゲン上に接着させるとERK活性化、MMP-2活性化、MT1-MMP活性発現、細胞運動が誘導される。MT1-MMP遺伝子導入はコラーゲンにより誘導される細胞運動およびERK活性化を亢進した。MMP阻害剤とMEK阻害剤はコラーゲン上の細胞運動とERK活性化を抑制し、活性型MEK遺伝子導入により誘導される細胞運動とMMP-2の活性化はMMP阻害剤で抑制された。また、MT1-MMPのヘモペキシンドメインの過剰発現はコラーゲン上でのERK活性化、MMP-2活性化、細胞運動を抑制した。以上の結果からI型コラーゲンによるERK活性化とMT1-MMP活性発現誘導間の正のフィードバック機構の存在が考えられた。また、本研究では4回膜貫通型分子CD63がMT1-MMPと結合し、MT1-MMPのリソゾームでの分解を促進することでMT1-MMP活性を負に制御することも報告した。 さらに、本研究ではインテグリン/FAK/p130^<cas>による細胞運動誘導情報伝達機構におけるアダプター分子Crkの役割も解析した。CrkIIは221番チロシンがリン酸化されるとSH2ドメインを介して分子内結合し、アダプター分子としての活性を失う。この221番リン酸化チロシンを脱リン酸化酵素の一つPTP1Bが脱リン酸化することが細胞運動亢進に重要であることを証明した。また、221番チロシンが存在しないCrkIIのスプライシング変異体であるCrkIの発現が脳腫瘍組織で亢進しており、細胞におけるCrkI発現がp130^<cas>のリン酸化、Akt活性化を誘導する結果、グリオーマの細胞運動・浸潤能を増強させることも明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)