ヒト腫瘍におけるミトコンドリア呼吸鎖複合体遺伝子の機能異常の検索と分子機構の解明
Project/Area Number |
14770080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
幅野 渉 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50332979)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 消化器癌 / ミトコンドリアDNA / 呼吸鎖複合体 / SDHD / 呼吸鎖複合体遺伝子 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
大腸癌52例、胃癌59例の手術材料および培養細胞株7種(HCT116、HT29、DLD-1、LoVo、SW48、SW620、MKN1)を対象に、核ゲノム内のミトコンドリア複合体II遺伝子SDHDの解析を行い以下の結果を得た。 1.点突然変異はいずれの症例、細胞株でも検出されなかった。 2.遺伝子欠失(LOH)は大腸癌の14%、胃癌の13%で検出された。 3.mRNA発現量の低下は79%の大腸癌で検出された(ただし完全消失はない)。 4.5'上流プロモータ領域のCpG配列のメチル化はいずれの症例、細胞株でも検出されなかった。 以上の結果から、大腸癌や胃癌においてSDHD遺伝子が癌抑制遺伝子として働く可能性が示唆された。ただし「2ヒット変異」およびmRNA発現量の完全消失が検出されないことから、典型的な癌抑制遺伝子の変異様式とは異なることがわかった。その理由として、エネルギー産生を担うSDHDの「ハウスキーピング遺伝子」としての特性が関係している可能性が考えられた。今回の研究結果は、ミトコンドリア機能に関係するその他のハウスキーピング遺伝子も癌抑制遺伝子様の役割を果たす可能性があることを示唆しており、癌の多様な性質を理解し治療に応用する上で重要な成果であったと思われる。また興味深いことに、SDHD遺伝子の変異(LOH)とミトコンドリアゲノム内の遺伝子変異(既報告)を同時に有する症例は1例のみであった。したがって、両ゲノムの異常が共通の呼吸鎖カスケードを介して、同様の役割で腫瘍の進展に寄与する可能性が考えられた。今後はSDHD遺伝子の機能解析を行い、分子機構の解明を試みる予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)