Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ボレリア属スピロヘータにおいて、これまで大腸菌に見られるような形質転換、並びに遺伝子組替えは不可能だと考えられてきた。最近、ボレリアの病原性とボレリア内に存在するプラスミドの関係が指摘され、ある種のプラスミドが欠落すると病原性が低下する事が見いだされた。さらに、この病原性が低下(プラスミドが欠落)したボレリアではエレクトロポレーションによるプラスミドの導入ができるという報告がなされた。さらに、病原性に関与すると報告されたプラスミド内の特定の遺伝子が、プラスミドの複製・安定性に関与している事が報告された。現在までにボレリアの特定の遺伝子破壊が報告されつつあるが、トランスポゾンによるランダム破壊の方法はまだ確立されていない。これらの結果を踏まえて、申請者はボレリア内でランダムな遺伝子挿入破壊可能なトランスポゾンベクターの開発を試みている。昨年までに、ベクター上のトランスポザース、薬剤耐性遺伝子のプロモーター領域をボレリア由来flaB遺伝子プロモーターに置換したプラスミドを構築済みである。ボレリアにおけるより効率的な形質転換法の確立を目指して、エレクトロポレーション並びに一次スクリーニング条件の検討を行った。その結果、作成したトランスポゾンベクターを用いたボレリアの遺伝子破壊株は得られなかった。これはボレリア体内で遺伝子組換えよりもベクターのキュアリングが早いためと予想された。最近、ボレリアのプラスミド維持に関する遺伝子が特定され、ボレリアにおいてもDNAのメチラーゼ・制限酵素系が存在する事が報告された。そこで、メチラーゼを破壊したボレリア株を用いて、上記で作成したトランスポゾンベクターによるランダム遺伝子破壊株の取得を試みた。その結果、一次スクリーニングにより、スペクチノマイシン耐性の196株のボレリアコロニーを得る事ができた。現在、得られた全ての株についてトランスポゾン挿入場所の解析を行っているところである。本方法はライム病ボレリアの機能未知遺伝子の機能解析をする上で非常に有用であると期待している。
All 2004 Other
All Journal Article (1 results) Publications (1 results)
Int.J.Syst.Evol.Microbiol. 54
Pages: 1649-1652