レトロウイルスエンベロープ蛋白質による膜融合のシグナル伝達経路
Project/Area Number |
14770134
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Virology
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
久保 嘉直 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (30273527)
|
Project Period (FY) |
2002 – 2003
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | レトロウイルス / エンベロープ蛋白質 / 膜融合 / 糖鎖付加 |
Research Abstract |
マウスレトロウイルスの細胞内侵入は、ウイルスエンベロープ膜と標的細胞の細胞膜が融合することによって達成される。ウイルスがコードするエンベロープ蛋白質のC末端Rペプチドは、ウイルス粒子放出後に切断され、膜融合活性が賦活化されることが知られている。この結果は、Rペプチドが膜融合活性を阻害することを示している。Rペプチドの膜融合阻害に意要なアミノ酸部位を同定するため、様々な変異体を作成し、それらの膜融合活性を測定した。その結果、Rペプチド切断部位近傍の疎水性アミノ酸モチーフが膜融合阻害に重要であることがわかった(投稿準備中)。 前述したように、レトロウイルスの細胞内進入には、Rペプチド切断によるエンベロープ蛋白質の膜融合の活性化が必須であるが、ウイルス粒子におけるエンベロープ蛋白質を解析したところ、Rペプチド未切断のエンベロープ蛋白質が検出された。そこでRペプチド未切断エンベロープ蛋白質のウイルス感染に対する影響を解析した。その縮果、Rペプチド末切断エンベロープ蛋白質がRペプチド切断エンベロープ蛋白質によるウイルスの細胞内侵入を抑制することがわかった。この結果は、効率的なウイルス感染のためには、Rペプチドの完全な切断を必要とすることを示している(投稿中)。 一方、我々は、マウスレトロウイルスの感染がラット感染受容体の糖鎖付加によって抑制されることを既に示した。しかし、マウス感染受容体も同様に糖鎖付加を受けるにも関わらず、感染を抑制しない。この違いを決定しているアミノ酸部位を同定するため、マウス受容体とラット受容体のアミノ酸配列を比較した。マウス受容体は、ウイルス結合部位近傍に3アミノ酸の欠損を持っていることがわかった。このアミノ酸欠損が糖鎖感受性ウイルス感染に関与しているかどうか知るため、ラット受容体に、その欠損を人工的に導入し、ウイルス感染における糖鎖の影響を解析した。その結果、変異ラット受容体は、マウス受容体と同様に、糖鎖の影響を受けないことがわかった。この結果は、そのアミノ酸欠損が、糖鎖感受性感染に関与していることを示している(投稿中)。また、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)感染においても受容体の糖鎖付加が影響するかどうか解析した。糖鎖付加部位を変異させたCXCR4を発現する細胞は、野生型CXCR4を発現する細胞よりも、CD4非依存性HIV感染に対する感受性が高かった。しかし、CD4依存性HIV感染には影響しないことがわかった。この結果は、CD4非依存牲HIV感染が、受容体CXCR4の糖鎖付加により阻害されることを示している(投稿準備中)。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)