Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
肝温阻血再還流障害の解明のため、雌性ビーグル犬を全身麻酔下に門脈-静脈バイパス下に完全肝血行遮断を行った。2時間の肝温阻血の後、再灌流せしめ、開腹下に3時間観察した。測定項目として2週生存率、循環動態(脈拍、収縮期・拡張期・平均動脈圧、中心静脈圧、門脈圧)、レーザードップラーを用いた肝組織血流量、肝逸脱酵素(AST, ALT, LDH)、肝組織中エネルギー代謝、病理組織学的評価を行った。コントロール群として薬物を投与しない群を作成したが、2週生存率は約25%であった。動脈圧、肝組織血流量は再還流後に著明に低下し、肝逸脱酵素は再還流後より上昇し約12時間でピークに達し、再還流後のATPの著明な減少とキサンチン、ハイポキサンチンの増加が見られた。病理学的には、類洞の破壊と好中球浸潤が見られ強い炎症所見が得られた。治療群では、投与量、投与経路、投与期間などの条件を変化させた結果、アデノシンA1受容体阻害剤は経門脈的に阻血前投与、アデノシンデアミナーゼ阻害剤、アデノシン取り込み抑制剤は経静脈的に阻血前、再還流後投与とした。アデノシンA1受容体阻害剤投与群はアデノシンの増加は見られなかったものの、生存率、肝逸脱酵素、肝組織血流量などの改善が得られた。アデノシン取り込み抑制剤投与群では、再還流直後に軽度のアデノシンの増加が見られ、アデノシンA1受容体阻害剤投与群と同様に生存率などの改善が得られた。一方、アデノシンデアミナーゼ阻害剤投与群では再還流直後にアデノシンは著明に増加したが、キサンチンやハイポキサンチンも増加し、コントロールと比較し測定項目に優位な差は得られなかった。この結果から、A1受容体の阻害やアデノシンの細胞内への取り込みを抑制することは有用であるが、アデノシンが増えすぎるとプリンヌクレオチドも増え有害作用を示すため、そのバランスが重要であることが判明した。
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