Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
0℃以下での未凍結温度である過冷却保存を肝臓において確立させるために、過冷却保存の有用性をラット肝においてグリソンから中心静脈までをzone1〜3に分類し検討した。対象と方法:摘出保存肝の障害程度を4℃と-0.5℃過冷却保存で比較検討する。SD系Lewis雄性ラットを用い、摘出肝を4℃のUW液にし4℃保存群を作成し、過冷却保存群はプログラム冷却装置で90分掛けて-0.5℃に冷却した。保存時間は12時間と24時間。検討項目として1.保存肝中のATP量を測定(各 n=7)。2.保存障害の検討として肝類洞径及び類洞壁細胞核の濃染化を検討(各 n=7)。3.再灌流障害の検討として保存24時間の再灌流時にDichlorofluorescin Diacetate(DCFH)とPropidium Iodide(PI)を用い、活性酸素発生量と死細胞数をzoneごとに検討(各 n=5)。また抗グルタミンシンテターゼ抗体にて染色した後に、尿素サイクル機能評価を行いアンモニア代謝能力の検討を行なった。結果:1.ATP量は-0.5℃保存群が4℃保存群に比較して保存12時間時に有意に高値を認めた。2.肝類洞径は組織障害の進行に伴い狭小化を認めるが、4℃保存群は全てのzoneにおいて-0.5℃保存群に比較して有意な狭小化を認めた。また類洞壁細胞核の濃染化も4℃保存群で全zoneにおいて-0.5℃保存群に比較して有意に認めた。3.DCFHの輝度は全Zoneにおいて4℃群が-0.5℃群と比較して有意に上昇し、Zone2が他のZoneと比較して有意に高値を認めた。PIの発光個数は全Zoneにおいて4℃群が-0.5℃群と比較して有意に増加していた。アンモニア代謝能力の検討では有意な差は認められなかった。結語:ラット肝臓単純浸漬保存において、-0.5℃過冷却保存が4℃保存に比較して、保存障害と再灌流障害ともに軽減されることが示唆された。
All 2004
All Journal Article (1 results)
久留米医学会雑誌 67・1
Pages: 34-41