Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究ではDNAのCpG配列のメチル化を特異的に検出できるmethylation-specific PCR(MS-PCR)法を用いてその特異性と感度を高めるととによって微小転移の検出が可能であるかについて検討した。(1)初めにMS-PCR法の検出感度・特異性に関して検討した。メチル化DNAの希釈系列を作成した後、DNAをSodium bisulfite処理し、DNAのチミンをウラシルに変換した。CpG配列でのチミンはメチル化されているとウラシルには変換されないことを利用し、p16遺伝子のプロモーター領域のメチル化を特異的に検出できるプライマーを設計してPCRをおこない検出感度と特異性を調べた。特異性と感度を高めるためにnested PCRとし、2nd PCRではアニーリング温度を高く(72℃)設定した。更に各サイクル時間を短くし(15秒)且つサイクル数を多くした(35サイクル)。その結果メチル化DNAを10^<-6>まで希釈したサンプルでもp16遺伝子のプロモーター領域のメチル化を検出することが可能となった。(2)次に完全切除された50例の原発性非小細胞肺癌の原発巣でのメチル化の有無を検索した。凍結保存された肺癌と正常肺組織からDNAを抽出し、Sodium bisulfite処理をおこなった後にMS-PCR法を用いてp16遺伝子プロモーター領域のメチル化の有無を検索した。正常肺でもメチル化が検出される症例を対象から除外すると原発性肺癌43例中18例(41.9%)でメチル化が検出された。(3)現在手術前後の血清からDNAを抽出し上記の方法で血清中に含まれるメチル化遺伝子の検出を試みている。またp16遺伝子のみではメチル化の頻度が高くないことから今後は他の遺伝子(MGMT、DAP kinase、RASSF1A遺伝子など)も利用して検索を進める予定である。