Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
腫瘍細胞のニトロソウレア剤耐性の指標として注目されているDNA損傷修復酵素であるO^6-methylguanine-DNA methyltransferase (MGMT)について当研究室では1989年より脳腫瘍細胞のMGMT酵素活性とニトロソウレア剤耐性の関連について研究を重ね、in vitro、in vivoともにMGMT酵素活性が高値の腫瘍ほどニトロソウレア剤に対して抵抗性を示し、低値の腫瘍では感受性を示すことを報告してきた。また臨床的にもMGMT酵素活性が脳腫瘍のACNU(ニトロソウレア剤)感受性の指標として有用であることを明らかにし、選択的化学療法の可能性を示してきた。昨年度の研究からMGMT遺伝子の発現機序に関してMGMTの遺伝子転写開始部位、第4エクソン開始部位、MGMT活性の中心をなす145番目のシステイン塩基近傍の計3ヶ所に対してそれぞれに対する特異的配列を持つリボザイムを50〜52 merのサイズで設計し、各リボザイム間の切断効率の差を各種条件(温度、濃度、時間等、)を変えて検討し、最も高いRzCを選択しpRC/RSVに挿入、MGMT酵素活性が高値を示しているT98G、C6細胞にtransfectionを試みた。導入後、各細胞のMGMT酵素活性のm-RNA発現をRT-PCR法を用いて定量解析したが、transfection後の細胞で明らかなm-RNA発現量低下は観察されなかった。また各細胞のニトロソウレア剤(ACNU)に対する感受性にも同様に変化は認められなかった。現在、各細胞へのtransfectionの効率、及びtransfection部位を再考し、MGMT酵素活性のm-RNA発現量について再検討を加えている。