Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
昨年度に引き続き、我々は脳虚血障害に対する低体温療法の効果について動物モデルを用いて基礎的研究を行ってきた。昨年度の研究では、成猫の一過性脳虚血モデル(一側中大脳動脈閉塞、再潅流モデル)を正常体温群と低体温群に分け、それぞれ経時的な感覚誘発電位を測定し、また実験終了後に比重法によって脳浮腫の程度を検討することにより低体温の脳保護効果を明らかにした。本年はそれに加えて、低体温状態からの復温の条件、すなわち再潅流時における緩徐な復温群と急速な復温群とを比較した場合に、低体温の脳保護作用に対してどのような影響が及ぶのかについて検討した。その結果、復温が急速な群では低体温の脳保護作用が電気生理学的な回復の程度を低下させ、また浮腫の検討でも急速復温群では緩徐復温群と比べて浮腫の程度が強かった。すなわち、急速な復温により低体温による脳保護効果が減弱された可能性が示唆された。すなわち臨床的にも重要なテーマである復温は緩徐である必要があるということである。これらの結果を国内、国際学会にて発表し、論文にまとめた。また低体温の虚血耐性の誘導についての検討では、現在Sprague-Dawleyラットの両側総頚動脈および一側中大脳動脈閉塞-再潅流モデルを用いてどの程度の低温状態が必要なのかを34℃から28℃までの範囲で検討している。またその長さも短い時間(10分)長時間(120分)の範囲で変化させて検討している。今後の課題としては低体温からどのくらいの時間で虚血耐性が誘導されるのかを検討する必要があると思われる。
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