Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
【目的】脳動脈瘤の成因は現在不明であるが遺伝的要因が以前より指摘されている。我々は罹患同胞対連鎖解析により染色体5番7番14番に有意なlinkageを認め、その候補領域の染色体5q31に位置するFGF1について、SNPを利用してhaplotypeを構築し、患者対象間で関連解析を行うことで、この遺伝子と疾患との関係を評価した。【方法】脳動脈瘤罹患患者165例(平均年令59.8歳)対照192例(平均年令59.0歳)の血液サンプルより抽出したDNAを用いて、direct sequenceによりSNP searchおよびSNP typingを行った。患者対照間でSNP単独での頻度の検定、およびSNPを利用してArlequinにてhaplotypeを構築し、その頻度の検定を行った。【結果】FGF1遺伝子内に11ケ所SNPを確認できた。内7ケ所はpromotor領域に認め、4ケ所はintronに認めた。SNP単独では患者対照間で頻度に有意差は認められなかったが、同一intron内の2ケ所のSNPにて構築したhaplotypeの特定のhaplotype頻度にχ検定にて有意差が認められた。(患者(家族歴+)対照間P=0.004 ODD's ratio=4.85(CI=2.62〜16.18)、全患者対照間P=0.003 ODD's ratio=2.93(CI=2.01〜6.12))【結論】FGF1が脳動脈瘤感受性遺伝子である可能性が示唆された。今後症例を増やし、機能解析等を追加して確認していく必要がある。