Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
In vitroにおいては、子宮体癌細胞株(HEC-1A)にA-LAPを遺伝子導入した細胞株HEC-1A-A-LAPでは親株に比較し、アンジオテンシンIIによるVEGFの分泌促進は完全に抑制された。また、アンジオテンシンII(10-8M)を添加した親株とHEC-1A-A-LAPの培養液を血管内皮細胞(HUVEC)に添加し、遊走能の変化を検討したところ親株の培養液では遊走能が約2倍に増加したのに対して、HEC-1A-A-LAPの培養液では遊走能に変化を与えなかった。親株の遊走能の促進はVEGFの中和抗体により完全に抑制された。以上の結果から、アンジオテンシンIIは子宮体癌細胞のVEGF分泌を促進し、血管内皮細胞の遊走能を促進した。次に、実験動物を用いて、腫瘍増殖におけるA-LAPの機能を検討する目的でHEC-1Aの親株とHEC-1A-A-LAPをヌードマウスに皮下移植し、腫瘍増殖の変化及び腫瘍組織の病理学的検討を行った。腫瘍増殖能は両群間に有為な差を認めなかった。腫瘍を摘出し、VEGF及び血管内皮細胞のマーカーであるCD31の免疫組織染色を行ったところ、HEC-1A-A-LAPの腫瘍組織ではVEGF、CD31発現はともに親株に比較し著明に減少していた。つまり、HEC-1A-A-LAP細胞はin vivoにおいても腫瘍増殖には影響しなかったが、血管新生が抑制された。子宮体癌患者94例よりインフォームドコンセントを得た上で、アンジオテンシンII、A-LAPの免疫組織染色を行い、発現強度別に無病生存率をKaplan-Meier法にて比較検討した結果、アンジオテンシンIIは強発現ほど予後不良であり、逆にA-LAPは強発現ほど予後良好であることがわかった。以上の結果から子宮体癌において局所のレニンアンギオテンシン系が腫瘍の進展に密接に関与していることが示唆された。
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Tumor Biology 26
Pages: 9-16